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第1回 グローバルCEOのトップアジェンダは人的資本が課題とは

世界的規模調査「グローバル・リーダーシップ・フォーキャスト」から導き出されたリーダーシップの未来予測~グローバル及び日本のリーダーシップの行方

株式会社マネジメントサービスセンター(MSC)は、パートナー企業である米国DDI社と協働で、2~3年に1度、リーダーシップに関する大規模調査「グローバル・リーダーシップ・フォーキャスト(GLF)」を実施している。


10回目となる最新調査では、世界50ヵ国以上、13,695人のリーダーと1,827人の人事担当者からの回答を検証し、人材育成のベストプラクティスやリーダーシップの未来を導く重要なトレンドを集約した。日本からは過去最多となる2,158名のリーダーと161名の人事担当者が参加している。

本連載では、GLF調査の所見の中から、特に重要なトレンドを取り上げていく。第1回は、CEOが抱えている課題について解説する。

今回のGLF調査で明らかになったグローバルでのCEOの課題は以下のようになった(図表1)。トップ3は、いずれも人材に関する課題が占めている。数年前の調査では、「デジタル・トランスフォーメーション(DX)」や「不確実な状況をうまく乗り切ること」などが上位に入っていたが、現在は人的資本に関するものがCEOのトップアジェンダである。

1.経済やビジネス課題よりも、将来のリーダーを確保・育成することが重要

人口減少、少子高齢化、そしてビジネスに必要とされるスキルやコンピテンシーの変化により、企業戦略を実行するうえで重要なポジションを担う人材の不足が顕在化してきた。これについては、日本だけでなく世界の経営者も、リーダーや重要ポジション(例:DX人材など)の脆弱性を強く問題視するようになっている。調査に参加した529名のグローバルのCEOは、人材に関する課題を「夜も眠れないほど困難な課題」として挙げており、他のビジネス上の課題や経済的な課題よりも、人材が成功の原動力であることを明確に認識している。

インフレーションや中央銀行の利上げなどにより不況が懸念されるようになっても、高い専門スキルを持つ人材や将来のリーダーといった最も重要な人材層が、より良い経験を競合他社で得ようと退職したり、あるいは燃え尽き症候群やメンタル不調で離職したりする可能性に、経営者はかなり敏感になっている。

人材に関する課題以外では、データインフラの再整備、業務の最適化、より魅力的な顧客体験の創造を目指す組織のデジタル変革が上位を占めている。イノベーションの推進と相まって、経営者はこれらの課題を、潜在的な景気後退の中で生き残るために不可欠な課題と見なしている。

2.戦略を実現するために人材の定着を促進する

私たちの調査によると、昨年、グローバルでは54%の組織で離職率が上昇し、そのため、人材の定着はCEOやCHROにとって、成功するために他の課題よりも優先して対応すべき深刻な課題となっている。

人材の定着に影響を与える要因はいくつかあるが、「1年以内に退職したい」と回答した人が考える理由の第1位は、リーダーが有能ではないことだと判明している。日本の値を見てみると、リーダーの対人関係スキルが低い場合、「1年以内に退職したい」と回答した人の割合は11%だったのに対し、リーダーの対人関係スキルが高い場合は4%だった。つまり、リーダーの対人関係スキルに問題があると、1年以内に退職するつもりであると回答する確率が2.75倍になるというわけだ。

第2位は、柔軟な働き方の選択肢が挙げられた。柔軟な働き方が提供されていない場合、リーダーが1年以内に退職する意向を示す確率が1.3倍高くなる。この傾向は、35歳以下の従業員ではさらに高く、退職する確率は2.2倍も高くなる。

組織内の人材について危機を感じているCEOは、自社のリーダーシップ文化を見直す必要があるかもしれない。また、心理的ニーズ(ヒューマンニーズ)と実質的ニーズ(タスクニーズ)の両方を満たす、全体的でヒューマン・セントリック(人間中心)のアプローチで、リーダーを育成する方法を考えることも必要だ。

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5.DDIとは

DDIは、世界最大手の革新的なリーダーシップ・コンサルティング企業です。1970年の設立以来、この分野の先駆者として、リーダーのアセスメントや能力開発を専門としてきました。顧客の多くは、『フォーチュン500』に名を連ねる世界有数の多国籍企業や、『働きがいのある会社ベスト100』に選ばれている世界の優良企業です。
DDIでは、組織全体におよぶリーダーの採用、昇進昇格、能力開発手法に変革をもたらす支援をすることで、すべての階層において事業戦略を理解し、実行し、困難な課題に対処できるリーダーの輩出に貢献しています。
DDIのサービスは、現地事務所や提携先を通じて、多言語で93カ国に提供されています。また、同社の研究開発投資は業界平均の2倍であり、長年にわたる実績と科学的根拠に基づいた最新の手法を駆使して、組織の課題を解決しています。

◆DDI社の4つの専門分野

DDI社は、4つの専門分野を中心に、長年の実績と科学的根拠に裏付けられたソリューションと、より深い洞察を提供し、優れた成果を生み出しています。

6.会社概要

会社名:株式会社マネジメントサービスセンター
創業:1966(昭和41)年9月
資本金:1億円
事業内容:人材開発コンサルティング・人材アセスメント

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