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詩141「猫の踪跡 (吾輩は猫だった)」

「猫の踪跡 (吾輩は猫だった)」

吾輩は猫であった
前世の記憶などない
多分猫であったと思っている
寝るのは好きだし気まぐれだらけ
ただ尻尾の振り方は思い出せていない

吾輩は猫であったと思う
確証なんてない
犬より猫が好きだ
日向ぼっこがたまらなく好きで
朝は早いし夜になればうずうずする

吾輩は猫になりたい
今は望みでしかない
人間なんて面白くない
しかし猫も大変である
野良となれば長靴を履いてる暇もない

吾輩は今のところ人間である
授かった名前も家族もある
猫のようにゴロゴロと暮らせたら好いのだが
ただ単純に暮らしていられればそれは幸せである
世の中は随分と複雑になってしまった

『吾輩は猫である』
久し振りに読み返している
難しい顔をしてこんな話を書いていたなんて
愉快な世の中だったのかもしれない
いつも人間は窮屈で社会は損得の巣窟である
きっと吾輩も猫であったはずである


Masanao Kata©️ 2023
Anywhere Zero Publication©️ 2023


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