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娘は今日、学校に行かなかった

「漁港の肉子ちゃん、観よか?」
私が尋ねると、娘が「あれ、泣けんのよなぁ。」と言った。
穏やかな昼時。

娘は今日、学校に行かなかった。
「学校、行きたくないねん。頭痛くなったら嫌やから。」と、昨晩、娘から言われた。

一昨日と昨日。
娘は頭が痛いと訴え、給食も手をつけないと学校から連絡があった。

昨日は迎えに行くと、真っ青な顔に、泣いて紫色になって目が腫れた娘が保健室で座っていた。
ただごとでは無い。
そう感じた。

でも、私はどうしていいかわからなかった。
母親なのに。

理由を聞くと、夜中何度も目が覚めるらしい。
そのせいで授業中睡魔がきて、頭痛もくるらしい。
何が起こってんの?
私は不安になった。

すると、学校の養護職員の方から「体はおそらく大丈夫です。心の方が。」と説明があった。

そして、帰宅した娘は、「皆も先生も、ママも困らせてごめん。」と泣いた。
私がいくら、体調が悪いのは仕方がないことで、誰も困ってないと伝えても聞き入れる様子がない。
「心配かけて困らせてる。」そう何度も言うだけだった。

その言葉を聞くたび、胸が痛んだ。
私が昔、幼い娘に言った言葉だった。
家族が病気になると、尋常じゃないほど恐怖を感じる私。
だから、心配しているのに怒ってしまう。
そして、パニックになってこう言ったのだ。

「もうこれ以上、ママのこと困らせんといて!」

昔吐いた言葉が、今になって自分に返ってきた。
しかし、私のせいだと自責し、罪悪感に苛まれたってもう過去は変えられない。

じゃ今、私が娘にしてやれることは何?

そう思い、娘にこう伝えた。
「心配してる。それだけで、ママは困ってない。
困らせんといてって言ってごめん。
だから、病気になっていい。しんどいならしんどいって言っていいんや。
辛かったら辛い。嫌なら嫌。伝えていいんや。
ごめんな。」

そして娘はその日の晩、4歳の頃に戻った。
お風呂で頭も体も洗って欲しいと言った。
髪も乾かして欲しいと言った。
明日は自分でやってや、と条件や期限をつける自分が何度も現れた。
そして晩ごはんを食べた後、いつもなら絶対言わないことを言った。
「お菓子食べたい。」

私が思わず調子乗んなよって顔をすると、娘は大声で叫んだ。
「ミーもたいちゃんみたいにしたいんやもん!
わがまましたいんやもん!いっつもわがまま許されるんは、たいちゃんだけやんかーーーーーーーー!」
泣き叫んで癇癪を起こした。

私は、「そやな、ほんまそうやわ。」
それだけ呟いた。

ちょうど夫が帰宅した。
すると、娘は更なる癇癪を起こし甘えた。
私は、娘に「おいで。」と呼びかけ膝に座らせ抱きしめた。
もっと早くこうしてやればよかったんや。

そして、今日。
のんびりと私たちは過ごしてる。
学校を休んで。
親子ヨガに参加し、体を動かし笑ったり。
昼ごはんを作りたいと言う娘を、急かさず見守ったり。
一緒に漁港の肉子ちゃんを観たり。

漁港の肉子ちゃんを観終わって、なんか言葉にならないものを私は感じた。
そして、泣いた。
娘は、そんな私を観て笑った。
今日もいい一日になった。


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