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本に囲まれる

友だちにメルでカリなサービスを勧められ、なるほどなるほどと話を聞いている。
「家電とかおもちゃが売れるよ〜!あ、むぎ山の作った保育の壁面とかも、アレも売れると思う!」

そうかそうか、と話を聞きつつ、さてさて我が家には彼女がいうような「売れる」モノがあるだろうかと考える。
子ども服、おもちゃ。うーん…使わなくなったもの、他になにかある?
家にあるもの…たくさんあるもの…本?
本かぁ…
本はやたらあるな…
うーん…でも…いやいや…本はなぁ…
やっぱりだめだな…
…売るもの…ないじゃん…


お察しの通り、わたしは紙の本が好きである。
児童書、料理の本、雑誌、ムック、攻略本…気に入った本は何度も眺めたいし読みたいし、いつまでも周りにおいておきたい。
小さい頃は誕生日やクリスマスになると図鑑を強請っていて、お前はプレゼントに困らなかったなあ、本屋に行けば解決したから…と両親にしみじみと言われたこともある。どの図鑑の何ページに何が載っている、というのもわかっていたらしく(たしか犬種だったとおもう)成長と共に無くしてしまったその能力、いまも持っていたらなにか役に立ったかもな〜などと思ってみたり。
話はだいぶ逸れましたが、本の手触りだとか、装丁だとかはもちろん、物質として好きなものが「ここにちゃんとある」ことが好きなのかもしれない。
もちろん生まれてから本を捨てたことがないわけではないし、嫁入り前だとか、人生の節々で大掛かりな掃除をしてきて何冊もの書籍とさようならをしてきた。けれど、正直後悔しかない。
「あの本実家にあったっけ…あ、捨てちゃったんだ…」とか、「大人になってリメイクした懐かしのあのゲーム…攻略本あったよなー…ってリメイクなんてされると思わなかったから売っちゃったよ!」…などなど。
それこそメルカリだとか中古販売のサービスで、いつぞや持っていた本を見かけて、うわぁ…あの本にこんなお値段がつくのか!!!!と色々複雑な気持ちになったこともある。売らないけど。
あっても嵩張るし、邪魔になるだとか、それこそ断捨離で一番最初に処分すべきは本、ときめくものを残しましょう!なぁんて話を耳にすると、ときめくものが書籍な人間はどうすりゃいいのだろう、と思うし、多分わたしはそうじゃないからいつまで部屋や家が片付かないんだ、こりゃ仕方ない、という妙に腑に落ちた気持ちになる。
読みたいな、という気持ちがいつぶり返すかはわからないし、そもそも一度好きになったもの=本もそれに関するものなのだから、再び情熱のビッグウエーブ、ときめく気持ちがやってきたときに見たい!!読みたい!となるのは当然なことで、なにもおかしくはないのだ。
やっぱり手放す理由は見当たらない。

そんなわけで、おばあちゃんになったら気に入った本に囲まれて狭い家で暮らしたい。見渡す限り本棚で、四畳半くらいのくつろぎスペースのある、そんなところがいいな。それがいまの私の夢。

余談だけど。子どもたちは私に似たのか、幼い頃に持っていたおもちゃを手放したくないらしい。「なんであげるなんて言うんだ!」とぷりぷりしている。
家にあってももう遊ばないのになあ、とため息をつく夫を横目に、いやいや…わかる…わかるぞその気持ち…と心から頷く母であった。

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