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【小説】終焉。僕は君らとこの物語を変えられるの、かな?2

第一章:銀木犀の夢

「あぁあッ…!」僕は布団から飛び起きた。
全身の毛穴から汗が出る。体は震え。視界は涙で滲む。
「はあはぁ…あぁあ…」呼吸が荒い。
僕は頭を抱える。
「僕は死ん…ああぁぁぁああぁ」
後ろから足音が聞こえてきた。
足音の主は、僕の後ろにしゃがんだ。
そして、僕の震える体に手をまわし軽く抱きしめた。
「大丈夫。犀兎せいとは生きてるよ。」優しい声だ。その手はとても温かい。
「ここは…?」
犀兎せいとの部屋だよ。だから安心して。」
「あぁ…そっか…」
「今回は…何を見たの?私たちの予知?それとも他の人の過去?未来?」
その声の主は僕を優しく抱きしめ、あやすかのように聞いてきた。
「今回は…他人の未来視だった…僕たちが協力関係を結んだ連合国の精鋭隊の一人の視点を見た…」僕の声は震えていた。
「絶望だ…あんな兵器…何万どころじゃないッ!改造されれば何億人もの人々を余裕で殺せる。まるで空亡そらなきだ…人が作り出した妖魔…うッ」突然吐き気が僕を襲った。再び体が震える。だが、
「大丈夫。大丈夫。」彼女はゆっくりと話しながら僕を抱きしめる。
落ち着く。
<私はいつもあなた思ふ。夢への加護をヱキザカム三葉みつはは詠唱をした。
途端、体が軽くなった。
「ありがと…三葉みつは…楽になったよ…毎度ごめん…」彼女に対し感謝をつぶやく。
「ううん。全然いいよ、犀兎せいとの能力<夢知むち>のせいなんだから。」
「私はこの隊の副隊長として隊長の犀兎せいとのことを守るのは当然。そして個人的にも犀兎せいとを守りたい!」三葉みつはは僕の顔を除き込んで笑った。まぁなんと恥ずかしいセリフを普通に言えるのだろうか。
と、思い再び彼女を見ると赤面していた。恥ずいのかい。
「まぁ…この<夢知むち>にも早く慣れないとな…」僕はそう思った。
「よし、三葉みつは。一応、休憩取れたから、会議を始めよう。掠実かすみ桑棘そらを会議室に呼んでくれない?」僕は尋ねた。
「わかった犀兎せいと。呼んでくる。またあとでね!」三葉みつはは勢いよく立ち上がり、にこっとし去ってった。
彼女の笑顔は花のように美しくかわいかった。
そして僕は、気配がなくなった事を確認し、自分の両手で顔を叩き「僕もがんばんないと。」そう思い立ち上がった。
☆       ☆       ☆
僕が会議室に着いたときには皆座っていた。
この会議室本来なら一部隊15人以上で使っている部屋なので僕ら4人で使うと、とても広く感じる。
「二人とも来るの早いじゃん。」少し驚きながら僕は、桑棘そら掠実かすみに言った。
「あぁ、ちょうど俺と掠実かすみが会議室行こうと思ってたら、三葉みつはとばったりな。そーだよな?掠実かすみ?」
「うん。そうだよ。」掠実かすみ桑棘そらに頷く。
「で、犀兎せいとさんよ?今日は何について話すんだ?」桑棘そらが尋ねてきた。
「まぁ大体わかるでしょ。」
そう僕は冷たく言葉を放ちながら、会議室のプロジェクターを操作し、前に立った。
「今後僕たちが参戦する戦争についてだ。」真剣な顔で僕は言った。
「ちッ、戦争なんてばかばかしい。」桑棘そらは呟いた。
「私だって嫌だよ…でも、上の人たちの決定で…」三葉みつはは悲しそうに言い返した。
「まあこればっかりは仕方がない。僕たちもこの戦争を早く終わらせられるようがんばろッ」僕は言った。
「よし。これから少数精鋭第零部隊コードネーム<花園たちの夢ロスニヒル>の会議を始める。」
      「「「はいッ」」」


※<夢への加護をヱキザカム>・・・「悪夢への耐性・夢から来た精神的ダメージの緩和
また、想いによっては違った加護を付与することも可能。」三葉みつはが所有する能力の一つ。


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