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自分の時間の流れを感じた映画

 ずっとずっとこんな映画に会いたかったんだ。暖かいココアとぬくぬくした空気、心が落ち着く空間でお気に入りの毛布をかぶって観たい、「PATERSON」とはそんな映画である。この映画に出会ったのは何年も前、SNSでポスターの画像を見たのがきっかけだった。二人の男女が横に並んで寝てる3パターンの写真、向かい合っていたり、片方が寄り添うようにしていたり、そんな二人の中に流れてる何とも言えない穏やかで安心しきった様子に惹かれ、絶対この映画観たい!と思ったのを覚えている。名前も検索しないまま画像を保存して何年もたち、今年U-NEXTでこのポスターを見つけたときは、胸がきゅうっと音を立て言葉にできないうれしさがあった。ドキドキして、早く観たいのに、最後のショートケーキのいちごのように大切にまだ残しておきたいようなもどかしさにうずいて、中々経験しない気持ちになった。

『毎日が、新しい』

 観る人によっては「なんだこの退屈な映画は」と感じてしまうかもしれない。実際他の人におすすめするには勇気がいる作品であるし、私自身ちょっと目を離すと「あれ?このシーンってさっきもやった?」と感じることがあった。でもそれでもいい。それでも見続けることでこの映画のキャッチコピーの意味に気づくのである。何か特殊な才能があったり、ずば抜けて顔がいいわけでもない、そんな普通にいる二人の普通の1週間が本当に愛おしい。私はこの映画を観てこの二人に流れる幸せが自分に起こったらそんな幸せはないだろうな、と思った。だから自分が今、大切な人と寄り添って寝ているとき必ず毎朝の二人のシーンを思い出してむふふとなってしまうのである。大げさにべたべたしているシーンがあるわけではないが、私が出会った恋愛映画の中で一番顔がとろけてしまう映画かもしれない。二人は私の理想像なのである。

映画館で観る「PATERSON」

私の大切な映画友達が、帰省していた時にたまたま「PATERSON」が再上映すると母に教えてもらった。なんてタイミング!(泣)U-NEXTで観てから即彼女にこの映画の良さを伝えていた私にとってこんな最高なタイミングは無い、やっぱり運命はあるし神様はいると思う。2016年に上映した作品が、この機会に、私が再会した2020年に再上映するなんて、、。すぐに映画館にふたりで飛んで行った。やっぱり映画館で観る映画は質が違う。とても上質で高級なふとんに包まれているよな特別感がある。嗅覚、聴覚、視覚すべてが刺激されて1度観た作品も初めて出会ったような気持ちにさせられる。「やっぱり映画館で観るのはいいね」私はまた、むふふしてしまった。

自分の幸福度と映画

 私の大好きな人が「心の満たされ度合いで幸福度は変わる」と言っていた。その通りである。おいしいごはんと大好きな人、素敵な映画。ここまで私を幸福にさせる要素があるだろうか。ちょっと生活に疲れてしまったり、なんか元気が出なかったり、何も考えずまったり過ごしたいなと感じるとき。この映画を観ると心の縛りがふわ~っとほどけて、よく眠れるような気がする。この作品は、そんな安定剤である。

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