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【27日目】『許さない』人生のツラさ(ジンセイのトリセツ)

◆『許し』と『愛』と『モトあつめ』

 今回のテーマは『許し』と『愛』についてです。

 こういうことも今までは「ほんわか」「雰囲気で」語られることが多かったと思いますが、モトの話ではやっぱり「メカニズム」にこだわっていますので、これらが「どう結びついているのか」「どうすれば『できる』ようになるのか?」を細かく解説していきます。もちろんモトの理論に基づいて、です。

 前回の最後に書いたとおり、たくさんのことを『許す』と『愛の状態』(中級編参照)になりやすくなります。とても大事なことなので復習しましょう。

  • 『許す』=自分のモトが相手に奪われることを「そのままにしよう」とアタマで決めること。

  • 『愛』=ココロにモトの量がたくさんある【状態】

こうでしたね。これらが『許す』→『愛』という順番で結びついている、という話だったんです。

 この説明だけ見ると
「奪われているのに、最終的に増えるの??」
となるはずですが、これまでのモトの話に何度も出てきた

『二番目のモトあつめ』

という概念があれば、これが達成できるものだということがカンタンに分かるはずです。モトは【好き嫌いゲージ】(入門編参照)を上げることで「自分で増やせる」んでしたね。

 実は……空間のモトというものには

生き物のココロが増やさないと、増えない

という性質があります。森羅万象、この世界にあるもののなかで唯一、生き物のココロ『だけ』がこの「空間にモトを生み出す」という機能を持っているんです。
 ……こういうことにも、明確な理由がちゃんとあります。ですがこれは「エキスパート編」の内容なので、気になる方は次巻エキスパート編もぜひ読んでくださいね。


◆「許さない」とどうなるのか

 さて、『許すと愛になる』というのは直感的にわかりづらいかもしれません。だって一旦「イヤな思い」(モトの減少)を経験すると相手を愛せる、という話だからです。
 だから、ちょっと『逆に』考えてみます……すべてを「許さない」生き方をすると、どうなるのでしょうか?

 これは僕自身の実体験でもあります。今の僕は自分が「ASD(自閉症スペクトラム障害)」という、いわゆる『大人の発達障害』を持っていることを知っています。ですからそれと「どう向き合うか」を真剣に考えてだいぶ「丸く」なりました。
 ですが病院の検査でこれが判明したのが41歳のときで、だからそれまで自分が「世間とどうズレているか」「なぜ世間は自分を受け入れてくれないのか」がさっぱりわかりませんでしたし、ゆえにたくさんの人にそれと知らずに失礼でひどいことを言ったりやったりしてきました。
 特に学生の頃は「校内の鼻つまみ者」として、ほとんど誰にも相手にされずに寂しい青春を過ごしました。成人してからも、貧乏でかつ麗しくない容姿も相まって、友情もロマンスもない人生でした。

 僕は自分より幸せそうな人たちの集まり(という勝手な認識)だった世間を強く「ねたんで」いましたが、それは「うらやましい気持ち」の裏返しでした(中級編参照)。僕は寂しがりで、でも世間のにぎやかな人たちみたいにどうしてもなれなくて、だからそういう連中を無教養で軽薄な人たちだと「見下す」ことで、自分のちっぽけなプライドを維持していました。

 30代で両親を失い経済的な後ろ盾が一つもなくなった頃(親戚づきあいの全くない家庭でした)、リーマンショックで仕事を失い社会から完全に隔離され、生活保護を受けながら就職に5年で1000回失敗し(数えました)、完全にふてくされながら「マクドとファミマ以外の人類は滅べ」なんてブツブツ唱えては

「自分の外にあるものすべてが『許せない』」生き方

をしていました。

 ツラかったです……思い出したくもない(笑)。

 でも今なら分かります。僕自身が何も『許さない』から『ツライ気持ち』がずっと続いていたんです。


◆『許さない』から人生がツラくなる

 僕自身、極度の「怖がり」でもあります。だから自分が「イヤな気持ちになる」ようなことをするなんて……とてもとても、と思っていました。イヤな気持ちになるようなことばかり起こる「社会」が怖かったですし、だからこそ最後は引きこもってしまったんです。

 つまり「自分から相手にモトが渡ることを『許さない』」と最初から自分で決めていたんです。

 これは冒頭の『許す』→『愛』と真逆のアタマの使い方です。つまり

『許さない』→『誰のモトも増えない』

という当たり前の結果が自分にやってきていて、それに自分で気づいていなかった、ということなんです。僕は愚か者だったわけです。

 発達障害が見つかってから3年ほど社会性訓練(SST)というものを受講して、自分がいかに他者を拒んでいたか、そして「愛されたい」と願いながらも他者を「愛さない」と決めて、そのことでいかに自分自身を苦しめていたかを思い知らされました。

 ですからこれだけは言えます。

 『許せない』ことが多ければ多いほど、人生はツラいものになります。

 自分自身で体験したことなので、この点は大いに自信があります……あの頃のことは思い出したくもないですが(笑)。


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「ニンゲンのトリセツ」著者、リリジャス・クリエイター。京都でちまちま生きているぶよんぶよんのオジサンです。新作の原稿を転載中、長編小説連載中。みんなの投げ銭まってるぜ!(笑)