◆自分ファーストと『逃げる』

　『許す』のはとても難しいけれども、やり方があるよ、という話を続けましょう。『許す』というのは「動作」ですから、アタマとカラダの動かし方がある、という話なんです。

　特に重要なのは【アタマ】の動かし方です。前にも書いたけれど、許すという動作は人間がすることの中で一番『アタマが要る』動作なんです……ここが難しいところだ、という話でしたね。ただ、アタマを動かす「やり方」があって、それが

• 選びなおす（選べ、もう一度！ の前にくっつける）
  　↓

• あきらめる（それが「自分を幸せにするか」見極める）
  　↓

• 許す（不要ならば「手放す」、そのときにモトを失う）

こういうやり方でした。この「所作（しょさ）」はとても大事なので丸暗記してください（笑）。

　もちろん「あきらめた」結果として、まだ自分の幸せに必要だから

• 許さないでおく

• 手放さない

と決めてしまうこともあるはずです。それはそれで、ときにあなたの人生を豊かにするはずですので、大事にとっておいてください。
　確かに、自分に危害を加えてくることを許しっぱなしにしてはいけない、という場合もあるものです。いじめやDVは許さないでおいたほうが自分にも相手にも「得」です（モトの量が）。
　だから、圧倒的なパワーでそれをやめさせられるとき以外は『逃げてください』と今までさんざん伝えてきたんです。すぐに逃げて、自分のモトの量をキープしてください（『自分ファースト』でしたよね）。

　こういうのも、前に話した【うにのトゲ理論】を完璧に理解できたら「相手が自分であって、自分の右手を左手でつねっているようなものだ」と理解できて許せるようになります……が、それは『モトの話』を最終巻のエキスパート編まで全部読んでからになるはずです。

◆大人になると「丸くなる」のはなぜか

　肉体が赤ちゃんから大人にすくすく育っていくのと同じように、人の心や精神も年齢とともに育っていきます。もちろん、脳の発達にともなって、子供から大人になるにつれ理解できることが複雑になっていく、という意味でもありますが、大人になってからもこの「理解力」は成長を続けます。

　最近の研究では、脳は90歳を超えても成長することが分かったそうです。脳細胞「ニューロン」が複雑に絡み合い、ネットワークを新たに作ることで「成長」するわけですが、これはつまり「理解力」が高まっていく、ということを意味しています。
　昔から『四十にして惑わず』なんて言われますが、20歳でオトナになるのは実際は生殖機能くらいです。人の心、つまり『アタマ』と『ココロ』の動かし方というのは、40歳くらいでようやく「まとも」に成長するのかもしれませんね。
　そのぐらいの年齢で人はやっと、中級編の「レンアイ」が一段落して『許すこと』を本気で覚えるようになるのかもしれません。

　オトナになると人は「丸くなる」ものだと思います。若い頃はまるでナイフみたいにトガって他人のカラダやココロを傷つけたりするものですが、ある程度社会を経験すると人の痛みを理解して、もし自分だったら……なんて考えて「丸くなる」もんです。

　この「丸くなる」がまさに『許す』という所作の結果なんです。

　たくさんのことを『許せる』ようになればなるほど人は「丸く」なります。つまり、他の人に優しく接する機会が増える、ということです。なぜかというと、そうすることで「自分も幸せになる」という

を社会生活でくり返していくからです。

◆『許すこと』と【愛】

　この『モトの話』は理屈にこだわるスピリチュアルです。こういうことに「なぜそうなのか？」という視点を持ち込んだものなのですが、これを自然に『学習』するのではなく自ら『理解』することで、早くそれを達成しようという話なんですね。そのほうが楽だからです。

　『モト』という「ココロの材料」とその「やりとり」という概念があると、この難しい『許す』という動作が、直感的に理解できるようになるはずです。特に『二番目のモトあつめ』という概念をよく思い出してください。初級編で書いたとおり、これを始めるためには、一度

ことが必要だったりします。ですが、上手にこのやり方が動き出すと、その場全体のモトが増え、自分も相手もその場にいる人も「いい気分」になるのだ、という話でした。

　それから『愛とは何か？』という話（中級編）も重要です。

でしたね。つまり、二番目のモトあつめを上手に利用すると『愛の状態』に近づく、という結論になります。

　これが何を意味しているのか？
　実は……他人を『許す』ことで『二番目のモトあつめ』を積極的に行い、その場と自分のモトを増やすことで『愛の状態』になっていく……つまり

のです！！ 次回はこの話をもっと深掘りしますね。

←前の話
次の話→