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小倉正史さんとわたし

こんにちは
アーティスト・社会起業家の芝辻ぺラン詩子です。

昨日はドクメンタ15シェア会をやってました!

集まった皆さんとわたしがこの夏見てきたドクメンタ15についてシェアしていきましたよ。

その中で、わたしがドクメンタと言うドイツのカッセルという地方都市で開催されている5年に一度の国際芸術祭について知ることになったきっかけについてもお話させていただきました。

2012年のこと。
わたしは、東京の府中の実家跡地の古民家、artist-run-space merdreを運営しながら、大分県別府市にもクリエーター向けの「清島アパート」に入居して二拠点生活をしていました。

アートNPO、BEPPU PROJECTがそのアパートも管理運営しているのですが、地域密着型のアートNPOの先駆け的存在で、国内外の著名なアーティストの個展を企画したり、2009年、2012年、2015年には国際芸術祭混浴温泉世界も行われていました。

2012年はフェスティバルが開催される年だったので、わたしや夫もアーティストとして参加していたんです。府中のメルドルで行った企画展を別府に持ってきたりして。

そこで、小倉さんには会ったんでした。


私なぞ、関わりの浅かった人間が小倉さんを語るのはおこがましいにも程があるのですが、これを読んだ他のアーティストの皆さんにも「後悔」を残して欲しくないと思って、noteにも書くことにしました。

小倉正史さんは1990年代にフランスのポンピドゥセンター(フランス、パリにある国立芸術文化センターの通称です。)で開催された企画展でもキュレーターとして参加し、その後フランスの芸術文化勲章シュバリエ(騎士)も受賞してらっしゃるものすごいお方だったんでした。


ものすごい人であるにもかかわらず、とってもフランク。
知り合った当時、すでに70代だったと思うのですが、ジーンズ姿でとてもカッコ良かったんです。

トークイベントでも、登壇者に率直な物言いでアートやアーティストに対する並々ならぬ「愛」を感じたんですよね。

そして、私たちにも声をかけてくださって・・・。

清島アパートで小倉さんが見てきた「documenta13」のシェア会をしてくださる、と言うことで狭い畳の部屋に20人くらいで集まって、お話を聞いていたんでした。
なぜか、小倉さんのパソコンからは見せられなかったので、私のマックに写真のデータをダウンロードしていただいて、私は操作する係だったのかな?

いつか行ってみたいな〜、でも5年に一回なのか〜とその時はぼんやり考えていたのでした。

私はなんと、小倉さんに背中を押されて、地元府中の学芸員さんをご紹介頂いたにもかかわらず、何年も不義理をしてなんの連絡もお礼もしていなかったんです。

やっとこさ連絡したのは2019年の秋頃。

自分たちで立ち上げた地元府中のアートNPO主催のトークイベントに登壇していただけないかと、相談のためでした。

なんと、お返事はすぐに頂いて・・・

でも、すでに病床に伏してらっしゃって、登壇はできないと、転院もする予定だと言うことだったんでした。

でも、きっと元気なお姿でまた会えるはず!
なんて思っていましたが、その数ヶ月後には故人となってしまわれたんです。

小倉さんのプログのタイトルはアートアナキズムっていうんですよね。
今も閲覧可能なんです。

久しぶりに拝見したら、またものすごい気づきをいただきました。

http://oguramasashi.sblo.jp/article/187058367.html

当時,フランクフルトのアカデミー(美術学校,アートスクール)の校長の職にあったカスパー・ケーニヒにインタヴューをしたことがあり,いくつかの質問に答えてもらったのだが,私としては,最も重要なアートの専門家としてかねがね敬意をはらっていたケーニヒが,どのような理念のもとにアーティストの養成をしようとしているのか知りたかった.もちろん,それより以前に,ロンドン大学付属のアートスクール,ゴールドスミスと,フランス,グルノーブルのアートスクールが,若いスター・アーティストを送りだすことに成功していたことが私の念頭にあった.だが,ケーニヒは,アートスクールはアーティストを作りだすところではない,アーティストは作ることはできない,自分でアーティストになるのだと答えた.

http://oguramasashi.sblo.jp/article/187058367.html
小倉正史ブログ「アートアナキズム」より

それが今まさに、私がアーティストたちにお伝えしたいことだと思いました。

「自分でアーティストになる」


2012年の私は「自分でアーティストになる」準備ができていなかった。
だから、小倉さんから学ぶ機会があったにもかかわらず、そうしなかった。
2012年の私は3年の結婚生活と、割とガッツリ取り組んだ不妊治療を経て、ようやく妊娠したというタイミングだったんです。

だから、あっという間に優先順位が大逆転しちゃったんですよね。

アート活動をしていると、大変なことや嫌なこともあるけれど、一生に一度のものすごい出会いもあります。

その出会いを大切に。

後悔のないように。

「自分でアーティストになろう」


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「自分でアーティストになる」
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