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夢中にはかなわない

昨日のゼミは、特別なゼミになった。

1年生のれいちゃんがファシリテーター。れいちゃん、ゼミのオトナたちからとってもかわいがられている。
そして、プレゼンターは4年のももこと3年のとーい。
何をプレゼンするのかというと、「マイプロジェクト」。
自分が夢中になっているプロジェクトやサークルやインターンやアルバイトなどなど、
そこで得た経験とか学びなどをプレゼンして、みんなでシェアする。

ももこもとーいも、「夢中」そのもの。
ももこは「踊り侍」というよさこいサークル、
とーいは「早稲田大学陸上競技同好会」というサークル。
ふたりとも、このサークルに入りたいから、浪人してでも早稲田大学に来たい、
と思って、がんばって、夢を実現させた。

ももこは入学して引退するまで、ずっとサークルで踊り続け、
「サークルの部室に学費を払ったようなもの」
自宅→部室→授業→部室→自宅、の4年間。

それくらい、夢中になれるものがあったことは、
たとえほかにやれることがやれてなくても、
すばらしい学生生活だった、と胸を張る。

未練はあるが、悔いはない。

高杉良の小説『生命燃ゆ』に出てくるセリフ。
高度経済成長期に石油コンビナート建設に力を尽くした技術者が、
夢中になって仕事をした結果45歳の若さで亡くなる。
生死の境でいった言葉が、
「未練はあるが、悔いはない」

その後、渡哲也も亡くなる前、人生を振り返ってそういったらしい。
(前のNHKの会長の籾井勝人さんが職を辞するときにも……、と本人談)

「一生懸命」は、「夢中」にはかなわない。
たとえば仕事。
「やりたい」仕事も「やらなきゃいけない」仕事も、一生懸命にはなれる。
だけど、「やらなきゃいけない」仕事は、夢中にはなれない。
誰かにとって「やらなきゃいけない」仕事は、
ほかの誰かにとっては「やりたい」仕事かもしれない。
そうすると、ほかの誰かにとっては夢中になれる仕事で、
たとえ「やらなきゃいけない」仕事をしている人がスキルが上で、
仕事の成果は勝っていても、
仕事の充実度は「やりたい」夢中な人にはかなわないだろう。

夢中は無敵である。
ももこもとーいも、無敵な学生生活だ。

特別なゼミになった、というのは、
突然のことだが、今日から大学の授業はオンラインになる。
昨日の夕方、教職員メールでそう伝えられた。
おそらく今日、学生たちにも発表されるのだろう。

大学の2021年度の授業は、今月で終わり。
いまオンラインに移すということは、
もう対面授業には戻らない。
4年生は突然、キャンパス生活の終りを迎えた。

昨日は阪神淡路大震災の日、一昨日はトンガの火山噴火で日本にも津波警報が出された。住民は真夜中の3時に、避難所へ避難した。
人生、いつどうなるか、わからない。

4年生本人たちは、あまりエモく考えてないのかもしれないが、
4年生たちのために、なにかしてあげたい。
制限された中で、なにが自由にできるのか。
考えてみよう。

「それはちょーどよかった!」、と。