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おしゃべりが人生の幅を広げる

今朝の黙読会で『心理的安全性をつくる言葉55』を読んでいて、
リフレーミング」という言葉に出会った。

リフレーミングと対話型鑑賞

思考の枠組み(フレーム)を外す、見直すのが「リフレーミング」。

通常、私たちの多くは、自分の視点、現在の視点、ここから手が届きそうな現実・日常の視点からものを見ています。その枠組を離れ、他者や顧客の視点をとり、長期の未来視点や非現実的なジャンプを考えてみること。そのように立場・視点を切り替えて考えることで、これまでは思いつかなかった柔軟な発想を促します。

『心理的安全性をつくる言葉55』p187

おお!まさしくこれだ! と思ったのは、
対話型鑑賞(美術作品を誰かとおしゃべりしながら鑑賞する)では、
自分が気が付かなかったこと、思いもしなかった解釈に出会うことがよくある。
メンバーの専門性や、ものの考え方や、趣味趣向によって、
それぞれがそれぞれの意見を自由にしゃべるから、
聞いてるだけで楽しいし、
「そんな見方があるんだ〜」と学びになる。

昨日、黙読会のメンバーのデミちゃんとエリちゃんと3人で、
「美をつむぐ源氏物語」を対話型鑑賞してきた。

書を見て、
「字ってデザインだよね、<キャラクター>っていうしさ」
とわたしがいえば、いま英語で博士論文書いてるデミちゃんが、
「<キャラクター>ね、英語で<特徴>って意味もあるしね」
と答える。

読めたことに感動した

おお!

続けて日本美術が最高だと信じているエリちゃんが、
「墨ならば、絵じゃなくて字でも濃淡つけてデザインできるしね」

おお!

いま思えば、これはわたしにとって「リフレーミング」だった。

対話型鑑賞は仕事のやり方のひとつだった

もうひとつ。
『心理的安全性をつくる言葉55』で、
オートクライン」という言葉も知った。

人は自分で話してるさなかに、何かに気づき、思い出し、結びつけ、自分が納得できる答えに辿り着くことが、よくあります。コーチングでは「オートクライン」と呼んでいます。

『心理的安全性をつくる言葉55』p161

これも対話型鑑賞ではよくある。
黙読会がやってる対話型鑑賞のローカルルールは、
展覧会に行く、会場に入る、まずざーっと1時間ぐらい見渡してみる。
そして気に入った作品を3つ選び、集合場所に。
3人か4人のグループになって、それぞれ「気に入った」作品を3分間、
なぜ「気に入った」のかを話す。

その「なぜ気に入ったのかを話す」うちに、
自分でも何かに気がついて、結びつけて、自分で納得して、
「おれって天才!」と思うことがある。

昨日は、江戸時代の『偐紫田舎源氏(にせむらさきいなかげんじ)』という
源氏物語を翻案した物語が、
ちょんまげを結った源氏物語で笑っちゃうから気に入ってる、
という話をしているうちに、
結びついてきた。

なぜちょんまげを結った光源氏(この物語では「足利光」)なのか、
それは江戸時代の庶民は、平安時代にどんな衣装を着ていたかなんて知らない、
いまわたしたちは学校で習い、本を見て新聞や雑誌やネットで知れるけど、
江戸時代には本も雑誌もネットもない、
そもそも情報量がまったく違うから、
いったんちょんまげにしないと受け入れられない、
(からなのではないだろうか、というのは省いてしゃべる)。

これを「オートクライン」と呼ぶのか。
すばらしい。

美術館で、リフレーミングとオートクラインを体験できる。
inputができて、outputもできる。
対話型鑑賞はとっても楽しく学びになる、
人生の幅を広げる仕事のやり方だった。


『心理的安全性をつくる言葉55』原田将嗣著 石井遼介監修 飛鳥新社 2022年
「美をつむぐ源氏物語」「源氏物語と江戸文化」東京都美術館 2022年

同じく東京都美術館でやってる岡本太郎展の「タロウマン」のジオラマではしゃく3人