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病院経営に活かすリハ専門職の視点

 全国病院経営管理学会リハ専門委員会報告会を開催し、「病院経営に活かすリハ専門職の視点」についてプレゼンテーションを行いました。オンライン及びアーカイブの方を合わせて、154名(会員28名、非会員126)の方にご参加いただく結果となりました。ご参加いただいた皆さま、本当にありがとうございました。
 本noteでは、私が本研修会の導入で行なったプレゼンテーションの内容のみを整理いたします。

一般的な経営の視点

 病院経営に活かす視点と言っても、立場によりその視点は異なります。
 図の右側に当たる現場視点から見ると、「顧客単価」×「顧客数」が売上であり、「変動費」+「固定費」が費用、そして、その差分が「利益」です。リハ部門の管理者であれば、おそらくここまでの、「売り上げを上げて費用を抑える」という目線で十分かもしれません。

一般的な経営の視点

 ただしこれは、主語としての『リハ専門職』が、病院経営に活かすために求められている視点とはおそらく異なるのではないかと感じます。つまり、「売り上げを上げて費用を抑える」という視点は、なにもリハ専門職だからこそということではないということです。

病院経営に活かすリハ専門職の視点

 それでは、病院経営に活かすリハ専門職の視点とは何かについて考えたいと思います。ここでは、現在と未来、そして対象者を見るミクロな虫の目と、リハ全体を見るマクロな鳥の目による4象限のマトリクスで整理してみました。

病院経営に活かすリハ専門職の視点

 このように整理してみると、虫の目で現在の対象者に活かせる視点は「動機づけ」、虫の目で未来に活かせる視点は「予後予測」、そして、鳥の目で現在に活かせる視点は「制度理解」、鳥の目で未来に活かせる視点は「仕組み創り」と考えることができます。

医療提供体制の部分最適と全体最適

 一方、ここでは、病院経営に直結するそれぞれの病期の「医療提供体制」と「診療報酬制度」との関係について考えます。

医療提供体制の部分最適と全体最適

 私がリハ専門職となった20数年前と比較し、病院は機能分化が進みました、その結果、急性期病院の在院日数の短縮に加えて、回復期病棟の新設やアウトカム指標の導入などが進みました。このような背景も含め、病院機能は複雑性を増し、結果、それぞれの病期ごとで部分最適な医療提供体制となりやすい状況になったと考えます。
 他方、見方を変えれば、診療報酬制度は各病期を包括的に全体最適に導く道標と考えることもできます。特に、「連携」を評価する診療報酬が複数認められているなど、連携を通して医療提供体制の全体最適を誘導しているように見えます。 

病院経営に活かす具体的リハ専門職の視点

 以上を整理すると、病院経営に活かすリハ専門職の視点は、以下の4つと考えることができます。

病院経営に活かすリハ専門職の視点2

 ① 全体最適の状態と現状のギャップを把握する「制度理解」の視点。② 全体最適となる仕組みをマネジメントする「仕組み創り」の視点。③ 適切なペイシェント・フロー・マネジメントを行うための「予後予測」の視点。そして、④ 職員の内発的動機づけ向上を促すための「動機づけ」の視点です。
 リハ専門職がこれらの視点を活かすことにより、「連携」を通じて病院経営に寄与できるのではないかと考えます。(このあと、報告会では3名の演者による院内連携、地域連携、法人運営の実践について解説いただきました。)

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。





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