「薄利多売ビジネス」の限界感

限界感シリーズ第2弾。第1弾は「24時間、365日営業」の限界感ですのでご興味のある方はどうぞ。もう一つ似たような記事はユニクロ、マック陥落、成城石井活況に見る消費者心理がありますのでそちらもどうぞ。

「薄利多売ビジネス」については以前から書いておりますように、もうそろそろ終わるのではないかと思うんですね。ちょっと前に冷凍食品の横流しのニュースもありましたし、「安いのには必ず裏がある」、そのことにうすうす気づいていたけれど知らない振りをしていた消費者も、いよいよ身の危険を感じ始め、その意識の変化の影響がそろそろ出始める、という感じがします。中間マージンをなくしてCtoCへの記事にも通じるかもしれませんが、流通コストや人件費や広告費も含めて、その安さで提供できる、ということは、絶対に中身にお金をかけていないわけです。原価なんて微々たる額の食品なんかを口にしてしまったりするわけですね。特に食べ物系は本当に命に関わるので慎重に選んだ方が良いと思います。すごくおおざっぱに言えば、大々的に広告を打っている商品ほど食べない方が良いということになりますが、広告の宣伝、いや洗脳効果は恐ろしく、ふらっと立ち寄ったコンビニで「そういえばこれCMでやってたな」と思って買ってしまったりする。それだけ広告の効果はあるわけだから、資本力のある大企業ほど広告にお金がかけられるので売れる仕組みなわけですよね。

ある「薄利多売ビジネス」を展開する企業で勤めていたことのある方に話を聞いたところ、やはりその企業での働き方は非常にブラック企業的で、非常に疲弊した職場であったということを伺いました。長時間労働やノルマへのプレッシャー、休みが取れないなど。公務員ボケしているからか、「そんなのおかしい!すぐ辞める!」と思ってしまうのですが、普通の会社だと当たり前なのでしょうか。それが当たり前になっている日本の会社というのは、相当狂っていると思いますね。薄利多売の裏には従業員への多大な負荷があるわけですが、従業員の方たちも大企業の安定の幻想にしがみつきたいのか、なかなか辞められない方も多いのでしょうね。まぁ、辞める方も大勢いらっしゃったそうですが、それも当然、身体壊す前に辞めるのが正解です。

100円ショップなども、いつ行ってもものすごい品ぞろえで、これだけのものが100円で買えるなんてすごいなぁと思うのですが、私が100円ショップで買い物をする時の基準は、「これが100円というのは妥当だ」と思うものだけを買う、ということです。「これが100円なんて安い!」と思うものは買いません。そういうものを買うと、たいてい思っていたよりもちゃっちいことに落胆し、すぐに捨てることになるからです。ですから、チャック付きの袋(これがスーパーとかだとなかなか売ってないんです)とか封筒とか排水溝のネットとか、「まぁ100円くらいだよね」と思うものを買うのにはよく利用しています。些細な消耗品類ですね。

モノには「妥当な値段」というものがあるのですが、薄利多売ビジネスによって、それがよくわからなくなってしまいます。判断基準が狂うんですよね。マッサージ店なども最近よく見かけますが、今見る限り「60分2980円」くらいが底値という気がします。消費者としては大変ありがたいことですが、施術者さん大変すぎない!?と心配にもなります。単価が安ければその分たくさん労働しなければならず、そうすると肝心な技術力向上の時間と労力が取れないことにもなる。「とにかく安いのがウリ」というやり方では、絶対にどこかにしわ寄せが来るはずで、それが今のブラック企業的労働形態であったり、食の安全を脅かすものであったり、社会全体が疲弊することにつながると思うのです。

自分でビジネスを始める際にぶち当たるのが、料金設定の壁ですよね。私が今ちょうどその壁にぶちあたっています。大企業の「薄利多売ビジネス」は今後下火になり崩壊への道をたどる一方。やはり自分で売るもの、サービスを安売りしないというのも一つの勇気ある選択だと思います。常に価値向上をすることを考えると、回すのに精いっぱいでは自己研鑽の時間と労力が割けませんからね。

つまるところ、一番大切なのは、「提供するものの価値を高め続ける」ということだと思います。どうやったって価値が下がり続ける一方の「薄利多売ビジネス」ではだめなんです。私たち消費者も価値と金額の妥当性をシビアに見極め、不当に安いものには見向きもせず、価値あるものには正当な額を払えるように意識変革をしていくことが必要だと感じます。

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