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現代詩「追走」

現代詩 追走
村崎カイロ

救急車が走り去ったので
僕は後から車で追いかける

救急車のやつは早いから
どんどん先に進んじまう
車の列をすり抜けるしさ
赤信号でも止まらないしさ
本当に速いんだ

僕はいつまでも右折できずに
もたもたしてばかり
このもどかしさったら
嫌になっちゃうな

テールランプが列を作って
車は中々進まない
ブレーキを
踏んで離しての繰り返し
嫌になっちゃうな

こんな時の路上は
赤信号ばかり
僕はその度に止まってさ
赤信号をぼんやり見てる
眩しくてさ
嫌になっちゃうな

ごめんね
早く着いて
一緒にいてあげたいのにさ
遅くなってごめんね

雨まで降ってきてさ
濡れた路面に
ブレーキランプと赤信号
まるで
路面に咲いた
彼岸花