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【4/15横浜戦◯】青木のヒットと大喜びのベンチと

頭を丸刈りにした青木は何度も何度も何度も粘り、12球目をとうとう、レフトに打ち返した。19打席打席ぶりのヒットに、ベンチは大盛りあがりだった。ホームランを打った選手を迎えるようなテンションで、代走の渡邉くんと交代して帰ってくる青木を迎えた。

帰国後、初ホームランを打った青木をサイレントトリートメントで迎えたベンチを思い出す。あの時は間違いなくそれが、チームにだってプラスをもたらした。それは、大きな1点となってチームに入った得点だったから。だけど今回は、少し違う。それは、その時点でチームの得点としてもたらされた「メリット」ではなかった。そして結局、得点にはつながらなかった。それでも誰かの1本を、誰かがきっと苦しんで悩んだであろうあとに出した1本に、チームメイトがこんなに喜べるって、最高だな、とそう思う。

開幕から40打席ヒットがなくて、ファンにもいろいろ言われて、その中でようやく、41打席ぶりの1本を打ったたいしに、ベンチもブルペンの投手たちも大喜びだった試合を思い出す。

あのときもヤクルトはもう、11-1でめちゃくちゃ負けていて(私は西武ドームでひたすらおいしいものを食べながら、自分をなぐさめていた)、たいしのヒットはそんな試合の8回表にうまれたもので、それが逆転につながるとは到底思えなかったけれど(もちろんつながらなかった)でも、ブルペンの外国人投手まで手を叩いて大喜びだったのだ。

「アットホームなチーム」とよく言われる。私は基本的にヤクルトの試合を見ているから、ほかのチームがどうかはわからないけれども、とにかく私から見たヤクルトはたしかに、アットホームなチームだな、と思う。ようやく出たベテランの1本に、そして苦しみながら出した若手の1本に、みんなが自分のことのように喜ぶ。

チーム内にだってもちろん競争はあって、誰かのピンチは自分にとってのチャンスかもしれない。そういう意識だって大切だ。でもそれはそうとして、チームメイトの葛藤とそして努力に、その結果生まれた1本に、喜びあえるその雰囲気が、私は大好きだ。

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