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感想 リスペクト――R・E・S・P・E・C・T  ブレイディみかこ 生身の人間を大切にしない社会には、未来はない。

この小説はイギリスの都市部の地価高騰の問題。
若者が簡単に家が買えない問題。
貧乏人が都会に住めなくなり地方に行かざるおえない問題。
住宅問題なのである。
貧富の差、格差の問題なのだ。

生身の人間を大切にしない社会には、未来はない。


というジェイドという女性の言葉が身に沁みる。

これは日本にもある問題なのだと感じた。

とても興味深いモチーフなのだが、小説としては駄作だ。
登場人物たちに共感できない。
これは書き手の表現の問題のような気がします。

この話しは、実話をベースにして書かれている。

ロンドン・オリンピックの2年後、オリンピックパーク用地だったロンドン東部のホームレス・シェルターを追い出されたシングルマザーたち(FOCUS E15マザーズ)が、公営住宅占拠運動を起こした。彼女たちの運動はオリンピックに端を発する下町のジェントリフィケーションへの抵抗であり、反緊縮運動の象徴でもあった。さらに同運動は2014年のカーペンターズ公営住宅地の空き家占拠・解放活動へと繋がっていく。


イギリスの首都にあるホームレス支援施設がなくなることになる。
そこに住んでいたシングルマザーたちに、二か月以内に出ていけというのだ。
これは理不尽である。
代替え案として、その人たちが出してきたのは地方都市の公営住宅の紹介だった。

その背景にあるのは都市部の地価高騰だ。

これは日本でもありまして、東京、大阪、京都、名古屋などではたくさん億ションが乱立し
めっちゃ地価が高く
地方は逆に地価が低下している。

ようするに、貧乏人は田舎に住めということだ。

そもそも、ホームレス支援施設が首都にあるというのが変です。
公営施設なら、都市部の地価高騰なら売却し、地方にいっぱい建ててみんなに入って貰えばいいのに
オリンピックが・・・ということで、こんなことになるのはおかしい。


それに二か月で出ていけ、地方に住めって理不尽すぎ
で、彼女たちは怒り狂い、空き家の公営住宅を占拠し住み始めた。
これは彼女たち貧乏なシングルマザーたちの一か月間の闘いの話しである。

そこに変な日本人記者とか、その恋人のアキーキストとか入れるからややこしく
そこに日本企業の批判とかも加わり
何が何やらわからんのです。

公営住宅を提供しているのは、サッチャー政権の時に民営化した会社で
企業だから、都市部にホームレスのマンションとかいらないという考えは合理的で
それを売れば儲かるというのもわかる。
公営住宅の空き家を大量に放置しているのも同じ理由だ。

しかし、理屈は正しいのかもしれないが
公営施設を経営している会社だから、金儲けばかり考えるのは変だ。
それは民間の会社の考え方です。

そのため、貧しいシングルマザーを田舎へ追いやるとかは変。

この反逆のリーダーのジェイドの貧しさに対する考え方は共感できるので、それを最後に紹介したい。

貧しいということは、単に、お金がないということだけではない。それが理由でほかの多くのものまで奪われてしまっている・・・。



それは、知識を得るチャンスや新しい環境に出会う機会や、自分に対する自信とか、明日の生活の安心とか、他人を信頼することとか、そういうことだと思う。

こういう貧しい人もリスペクトされる世界にならなきゃいけないと思います。



2023 9 8



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