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感想 ゴリラ裁判の日  須藤古都離 ゴリラに人権はあるのか?。裁判シーンが面白かった。


しゃべれるゴリラがいた。
機械を使ってですが、知的レベルは高校生程度あるとのこと

アフリカで見つかった彼女は、アメリカの動物園に連れていかれる
そこで交尾をした夫というのか群れのボスが殺害された

理由は、ゴリラゾーンに子供が落ちてしまい
その子に、雄ゴリラがじゃれついた

普通は麻酔銃なのだが、なぜか実弾で・・・

これが裁判になるという話し

アメリカで実際に激しい議論をまきおこした「ハランベ事件」をモチーフとして生み出された感動巨編。第64回メフィスト賞受賞作。


ハランベ射殺事件は、 2016年5月28日、3歳の少年がシンシナティ動物園と植物園のゴリラの囲いに登り、ゴリラのハランベにつかまれて引きずられました。このゴリラが射殺された事件。

確かに、理不尽なのです。
本書のゴリラは、一切、乱暴なことなどしていません。なのに射殺された。麻酔銃でなく実弾を浴びた。

その夫のため知的レベルの高い主人公のゴリラが裁判で戦うのですが

最初の裁判では負けてしまう。

理不尽と彼女が感じるのはわかる。
もし、これがゴリラでなく人なら、こんな射殺なんて残酷なことはされなかったはず

この本を読んでいて感じたのは、江戸時代の無礼討だった。

侍に無礼を働いた町民は切られても仕方ないというものだが
つまり、侍には人権はあるが、殺害される側の町人には人権はない
つまり、人として見られていない

ゴリラ裁判の結果も理不尽だ
ゴリラは殺されても仕方ない

つまり人権というか生存権すら認められていないということになる

再審の裁判で彼女は勝つ
その時、人の定義を学者の過去の発言から導き出す

人間と動物の違いは複雑な言語体系を持つか否か



その定義で言うと、人語を解する彼女は人となる
ゴリラ=人
だから、裁判は勝つのだが

それも理不尽だと僕は思う

昔、友達の愛犬を近所の変な爺さんにバットで殴られて殺害されるということがあった
これ器物破損で処理された
子供ながら、僕はすごく腹がたった
その犬は何もしていない
ただ、爺さんの近くを通っただけだった。

動物は殺害しても、たいした罪に問われない
器物破損
つまり、物なのだ

スマホを破壊されるのと同じ扱い

何も悪いことをしていないゴリラが
いや、どちらかというと助けようとしていた雄ゴリラが
力が強いという理不尽な理由で殺害される

この裁判が問いかけるものは大きい
本当に、このゴリラは殺される必要があったのか?

本書の難点を挙げるなら、言葉が多すぎることである。
この内容なら50ぺ―ジはカットできる
ゴリラがプロレスラーに転職するシーンはいらない。
わかりやすいほうが、メッセージが伝わると思う。
ごちゃごちゃしたデコレーションは作品の質を低下させるだけです。







2023  4 2



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