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感想 天久鷹央の推理カルテII  知念 実希人  医者は自分が無力であることを知らないといけないと言った小鳥の言葉が印象に残った。

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天久鷹央の推理カルテシリーズの二作目。
短編集です。

前作から1週間後の話だそうです。

「コーラに毒が盛られたと訴える男」
「血を盗む吸血鬼」
「病棟に現れる天使」
という3つの謎を解明していきます。

医学ミステリーは卑怯だと思う。
普通のミステリーは、読者が謎に挑戦できるし、時には謎を解明することもあるのですが、この知念さんの作品群はそうはいかない。だって、僕には医療知識がないんだから無理なのです。

それでも、面白いのは話しの構成や、なるほどと納得させられる解明編。
そして、天久鷹央という唯一無二のキャラ設定だと思います。

病棟に天使が現れる話しは、決して電車の中では読んではいけない。
泣くかもしれないよ。
犯人の動機、周囲の人たちの感情、天久鷹央の思い
ある無垢な少年の避けられない死

すべてがラストで豪雨のように降りかかってくるからだ。


医者は自分が無力であることを知らないといけない

この言葉が心に楔を打ち付ける。

万能と思えた天才医師にもできることとできないことがある。
少しフランダースの犬っぽい。
天使が少年を天界に連れて行くイメージ。

最初のコーラに毒がという話しも好きだ。
出来は、この作品が一番いい。

その犯人の動機もだが、この話しは構成もいいし、最後にすごい病気が出てくる。
それで納得してしまう。
卑怯だなと思いつつ。
なるほどと感じてしまう。

こういうの好きだなとも思ってしまった。

2022 10 18
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