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L’Arc-en-Cielの音楽の魅力を7つのジャンルでご紹介 〜第六弾 未来編〜

L’Arc-en-Cielの魅力を7つのジャンル(恋愛、愛情、哀愁、愛執、運命、未来、抵抗)でご紹介する本シリーズ、第六弾は未来編です。思い通りにいかない日々であっても、希望や夢を胸に抱えて前に向かって進み出す…そんな気持ちを歌った曲をラインナップしています。

第一弾〜第五弾までは、歌詞に描かれる情景や物語の解釈にフォーカスを当ててきましたが、第六弾の未来編は、歌詞のメッセージとしてそれほど複雑なものはないと思います。では、さっそく見ていきましょう!


未来編

DIVE TO BLUE

(作詞:hyde 作曲:tetsuya)
イントロのギターのかっこよさは、L’Arc-en-Cielの曲の中でもトップ5に入ります。落ち着いていてクール。エフェクターによる音響効果など知らなかった中高生の頃、この不思議な音はどうやって出すんだろうと思いました。

「ひざ下の境界線飛んでしまおうよ」「さびた鎖に最初からつながれてなんてなかったんだよ」「どこまでも果てなく夜空をまとい 新しい世界を探そう」「見なれた未来にも別れを告げて 壊れた幻想をえがこう」「定められた運命を切り裂いて空へと抜け出そう」…ここから飛び立とうという!メッセージがふんだんに盛り込まれていますね。

HONEY

(作詞:hyde 作曲:hyde)
この曲は、tetsuyaの「歌うベース」を一躍有名にした曲だと思います。YouTubeで、「HONEY ベース」で検索してみてください。いろんな方の「弾いてみた」動画がアップされているので、ベースに着目して聞いてみると面白いです。

「今も色褪せたその景色は 真白な壁に飾ってある」「転がってゆく道で 少しイカレタだけさ」「かわいた風をからませ あなたを連れてくのさ」「I want to fly, waitin’ for sunrise」…幼い頃の自分が夢見ていた未来とは違う形だけど、それでもその頃の気持ちを胸に、夜明けを待ち望んで飛び立ちたい、前に進みたいという気持ちが描かれています。

READY STEADY GO

(作詞:hyde 作曲:tetsuya)
乾いた疾走感のあるメロディが特徴的な曲です。乾いた、と表現したのは、ギターの音色が歪んでいて、ミュートを多用しているところから感じた全体的な印象です。でも、サビは開放感があって伸びやかです。キーボードの音色とtetsuyaのコーラスが、その伸びやかさを演出しているのだと思いますが、それらがなければこの曲の印象はだいぶ変わってくるんじゃないかと思います。

この曲で面白いのは、1番のサビが終わった後のベースのメロディ。間奏の時間としては短いのですが、その短い間に奏でられるメロディが特徴的。tetsuyaは、サビなどの目立つ部分ではあえてベーシックに弾いて、間奏やあまり気づかないようなところで面白いメロディをぶち込んでくる印象があります。(もちろん、サビでもグイグイ弾いている曲もありますが)

俺をもう引き止められない、前途に幸運あれ、決して過去は振り返らない…そんな決意を胸によーいどん!で走り出すこの曲は、とにかく前に進むぜ!という高揚感に溢れています。

New World

(作詞:yukihiro 作曲:yukihiro, hyde)
yukihiro万歳!な、疾走感抜群のかっこいい曲です。イントロのギターのジャキジャキ感、その後にズダダダダッ!と入ってくるドラム、のっけからメロディアスなベースで疾走感たっぷりです。

この曲の特徴は、なんといってもベースソロ。バンドのソロといえば、大体がギターソロなのですが、ベースソロを打ち込んで来るところが面白いです。tetsuyaのベースが浮遊感のあるメロディを奏で、「歪む残像」で始まるCメロに入っていきます。

ギターも黙っていません。「溶けて流れていく」の後から、疾走感を加速させるように滑り込んできます。2:48〜2:50あたりの目まぐるしくうねるようなメロディーが気持ちを煽り、「終わらない上昇ーーー!!」というhydeの叫びで爆発するこの構成が最高に気持ちいいです。サビのメロディーもどんどん上がっていく構成なのでカタルシスが半端ない。

歌詞は、「覚醒した今、前に進め!」みたいなノリです。具体的な物事を描くのではなく、疾走感そのものを描写している感じ。曲の疾走感と、歌詞の疾走感の相乗効果がたまりません。

MY HEART DRAWS A DREAM

(作詞:hyde 作曲:ken)
L’Arc-en-Cielの曲全体を通して見てみても、トップ3に入るくらい好きな曲です。この曲は、ギターの魅力が満載です。

まず、イントロで静かに響くギターの音色が印象的です。このギターのメロディーが、少し切ないような、何とも言えない素敵なメロディーで胸を打ちます。

1番の歌詞の「ほら風が動き出した」のところから始まるキラキラしたアルペジオも素敵です。2番の「ねぇ息を合わせたなら」でも同じメロディーかと思いきや、ここではコード主体の爽やかなメロディーを奏でているんですね。同じことを繰り返さないところに職人技を感じます。

また、「太陽を雲の先に感じる」から、歌に沿うように艶やかに伸びるギターのメロディーと、「逆風であろうと」あたりでグイグイと前に出てくる、歪むギターのメロディー両方がかっこいいところもポイントです。

サビでは、きらめく雫のようなギターのアルペジオが顔を見せ、Cメロの「どんな醒めた世界でも」の後に出てくる、感情の高まりを表すかのような、ギューンギューンと前に出てくる歪んだギターのメロディーもたまりません。

この曲の素敵なところは、ライブにおいて、「夢を描くよ」の部分で観客と一緒になって歌うところ。世知辛いこの世の中で、アーティストも、そこに集まった観客も一体となって「夢を描くよ」と歌っているこの尊さ。感動します。

歌詞は、「ほら 風が動き出した まだ 諦めたりはしない」「この胸は夢を描いてくよ どこまでも高く 自由に舞うのさ」「心は誰も縛れはしない 視線は日差しを捉えてる」「誰も皆 夢を描くよ」というフレーズで、未来を見据えて進んでいくぞという、前向きな気持ちを感じられます。

GOOD LUCK MY WAY

(作詞:hyde 作曲:tetsuya)
爽やかな音色のギターのアルペジオで始まったかと思いきや、結構ヘビーなギターサウンドが重なってきます。でも、「Ready Steady Go」と同様に、キーボードの音色によって伸びやかな印象に変えています。

疾走感があって、ダッダカダカダカ  ダッダカダカダカ…というリズムでガンガン進んでいきます。ギターソロが面白くて、4種類くらいの異なる奏法で構成されているような感じがします。ベースもかなりグイグイ唸っていて、ポップな印象とは裏腹にかなり難易度の高い曲だと思います。

「まだまだ夢は醒めないね この道の向こう何が待ってるんだろう?」「真っ直ぐに駆け出す 晴れ渡る青空が眩しい 追い風に煽られ 新しい旅が始まる」「いつかまた会えるよう 振り返らずに明日へ向かうよ」「ほらもう怖くは無い 明日何が起こっても 乗り越えられそう ここまで躓いても来れたから」…歌詞がとても前向きで、日々何かにチャレンジする私たちの背中を押してくれるような、L’Arc-en-Cielの中でも指折りの応援ソングです。

ミライ

(作詞:hyde 作曲:hyde)
イントロのキーボードのメロディが印象的な曲。この曲の面白いところは、最初に聞いた時はメロディがそれほど胸に刺さってこない印象を受けるところです。同時期に発表された「FOREVER」のイントロの方がキャッチーです。が、この曲は聞くたびにその良さがわかってくるスルメ曲です。シングルカットされているけど、わかりやすいキャッチーさがあるわけではないスルメ曲。そういう意味では、愛執編で紹介した「LOVE FLIES」に似ているかもしれません。

キーボードの音色が前に出ているので、その分、ギターやベースの印象は強くありません。面白いのが、ドラムがかなり変則的な音を鳴らしているところ。ドラムの音の粒やそのリズムの印象が強く、それがこの曲の盛り上がりに与えている効果は大きいと思います。

ジワジワ盛り上がる感じの曲で、サビには開放感とキラキラ感があります。
2番も1番と同様にジワジワ盛り上がり、サビで開放されます。Cメロでは一転して、おとぎ話の世界のようにゆったりとしますが、そこからまたジワジワ盛り上がり、サビ前にもう一段盛り上がり、最後のサビの「今虹がかかり一つに繋がる」で大きく開放されます。これまでのジワジワの蓄積があったからこその開放で、「虹」=L’Arc-en-Cielとファンが一つに繋がるという歌詞も相まって、強い感動が生まれます。

「夜空へと向かい炎の矢を放て 闇を燃やして朝を呼ぼう」「地図も道も何もなくても 乗り越えた不安が自信ある1歩へ」「未来はいつも僕等次第手を伸ばせ」「進めないと思っていたその先へ あの向こう側へ」「今虹がかかり一つに繋がる」…この曲も、前を向いて進む人の背中を力強く支えてくれます。

以上7曲が、未来に向かって前に進むL’Arc-en-Cielの歌でした。

次回で、本シリーズはいよいよ最終回を迎えます。第七弾は抵抗編です。L’Arc-en-Cielが「ロックバンド」であることを示す7曲をご紹介しますので、お楽しみに!

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