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若さと危うさ、大人になることの窮屈さ【中学聖日記】

教師と生徒の恋はなぜ禁断なのか?若さとは何か?

中学聖日記は、15歳の晶と、教師の聖が恋に落ちるという作品。
11話の間、ずっとふたりは想い合ってるはずなのに、
周りが邪魔をするような話の流れになっている。

ぼんやりとその様子を11話見つめて考えていた。

"なぜこのふたりはこんなに愛し合ってるのに、周りは認めないのか?"
"教師と生徒の恋はなぜ禁断だと言われるのか?"
"この母親はなんでここまで必死に離そうとするのか?息子の幸せが1番ではないのか?"

という疑問が浮かぶ。
私が見ている限りふたりは紛れもなく純愛で、そこに嘘はない。
だけど、

"あなたがまだ15だから。"
"未成年だから。"

と何度も言われ、一緒に居られなくなってしまう。

年齢の差があることが、未成年であることが、
ただそれだけの理由がふたりの想いを邪魔するのがどうしてもわからなかった。

お母さんは病的に晶を支配しようとしているように見えたし、
元婚約者の聖に対する想いは、好意や優しさだけにはもう見えなかった。
この人たちは自分の思い通りにならない相手に、嫌になるほど執着していると感じ気持ち悪ささえ覚えた。

だけど、あるときふと気づいた。

このドラマは、晶が「なぜ好きなのか?」「どこで好きになったのか?」
の描写がとにかく少ない。

好きになるようなきっかけのシーンが描かれることも、
聖からでる好意的なセリフもほとんどない。
どちらかといえば、ずっと聖は晶を引き離そうとしている。

なのに晶はどうしようもなく聖が好きで気持ちを抑えられず、
どんなことが目の前にあったとしても、
何もかも捨てて走り出してしまう。

聖が目の前にいたら、周りの目なんて気にせず手を取ってしまう。
連れ去ってしまう。

それこそが"若さ"だと思った。

16歳のとき、私に初めて彼氏ができた、彼と過ごす時間は、どの時間よりも短く思えた。
親の言うことなんてひとつも耳に入らなかった。メールが来ても怒られるのが嫌で、返事を返さなかった。
何度も何度も門限を破り、家に帰ると怒られる。
一瞬の感情の高ぶりで、何もかも棒に振ってしまう。そんな日が自分にもあったなと思い出す。

今は明日朝が早ければ、家に帰るし、自分の生活が一番大事だとそう思える。
できる範囲の無理しかしなくなったし、怒られてまでやりたいことなんてそうない。

なのにあのとき間違いなく、彼が私の世界の全てだったし、
それ以外は何も要らなかった。

15歳の晶は、聖に「ただふたりで楽しくなりたい、聖に優しくしたい」という表現で想いを伝えた。
18歳の晶は、聖と最後に会話するとき「ずっと幸せでいてほしい」と伝えた。

"思春期は危うい"
これが本当の恋だとか思っていたとしても、人生に"この人しかいらない"なんてことはない。

ふたりがずっと一緒にいるために、
お互いにひとりで生きていける人間にならなきゃいけない。

だからこそ大人が見守らなければならない。
そしてその責任を放棄してはいけないのだと思った。

相手のことをいちばんに想い、今の置かれてる状況を考えられてこそ、
好きな相手を大切にできる大人になる。
18歳の晶と、聖が気づいたのは、そういうことだったのかもしれない。

ひとりごと

にしても、
"目があうだけで気持ちが蘇って、どうしてもあの日に戻りたくなる。"
そんな相手が自分にもいるのだろうか。

自分の理性に抗えない恋だと気づいたとき、今の自分はどう想うんだろうか。

そんな相手がいたとして、何度考えても、
たぶん私は自分の人生は捨てられない人間だ。

聖のように先生を辞めてしまったり、婚約者を裏切ったり、
何度も何度もコミュニティを変えてひとりになることは考えられない。

連絡も取らなかった、会えもしなかった、
想い合っていた時期があった相手が何年も何年もただ自分のことを想ってくれるとも思わない。

大人はとても残酷だと思う。
大人になればなるほど、守らなければならないものばかり増える。
やらない言い訳ばかりが多くなってしまう。

そんな理性を保った自分でいなきゃいけないなら、
もう一生そんな相手には出会わなくていいし、
もし出会ってたとしても二度と会わなくていい。

散々自分は大人だと言ってきたが、
会ってもどうにもならないのにその瞬間の蘇った想いを受け流せるほど、
大人ではない。消せないだろうと思う。

そんな風に考えていると、なぜか涙が止まらなかった。


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