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体重負荷型歩行支援ロボットを使用した亜急性脳卒中者の歩行訓練効果

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理学療法士をしているyukiです。
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この論文についてです!
掲載雑誌:Journal of the Neurological Sciences, 2015
Impact Factor:3.115
本noteの参考文献リンク数:28本

では早速目次です!

はじめに

脳卒中生存者の約2/3は、運動機能障害を融資、生存者の30%以上は脳卒中発症後6ヶ月経過後も歩行自立に至るのは難しい(1)。

そのため歩行関連の機能を回復させ、歩行練習を行うことは、脳卒中リハビリテーションの大きな要素となる。

日本で歩行障害は、脳卒中の介護保険サービスを必要とする高齢者の長期障害の主な原因(23.3%)となっている。

さらに、日本の高齢者の割合は、2001年で23.1%と世界で最も高く、2060年は39.9%に達すると推定されている(2)

したがって、リハスタッフにとっては、人的資源の制限が進んでも、より多くの脳卒中患者に十分なリハビリ介入を提供することが望まれる。

脳卒中後の下肢筋力低下は、麻痺側と非麻痺側の両方で観察される(3)

機能的歩行スコア(4)と歩行速度(5)の間には、中程度の強い関係がある。
歩行練習が強度であり高いほど、脳卒中患者の転帰が
良くなることが報告されている(6、7)

歩行障害のある脳卒中患者に、十分な平地での歩行練習が推奨(8)されているが、これを裏付ける証拠は十分ではない。

この従来の治療に加えて、部分的な体重支持の有無によるトレッドミル歩行(9-11)やロボット支援による歩行練習が重度の歩行障害を持つ急性・亜急性脳卒中患者を対象とした歩行練習のいくつかの研究で、平地歩行よりも有益であると報告されている(12-14)。

歩行練習用のロボット機器として、エンドエフェクター型(15, 16)や外骨格型(17,18)、ロボットアーム制御システム(19-22)に分類される。

歩行支援ロボット(GAR)は、大腿骨と自動で独立して制御される4本のアーム、大腿部カフ、脚部器具、制御盤、足圧バイオフィードバックシステム、トレッドミルから構成される制御システムである(20)。

このシステムでは、対象者は自分の全体重を足にかけた状態でトレッドミル上を歩くことができる(21)。
そのため、治療者は、足圧バイオフィードバックシステムを使用して、各立脚相で下肢に体重を乗せることで対象者の歩行が行える。
GARは、他のロボット機器より、急性期および亜急性期の歩行困難者に対して、より特異的な利点を持つ可能性がある。

亜急性期で歩行困難な脳卒中患者を対象にGAR支援歩行練習(GAGT)の前向き盲検無作為化比較試験を実施した。

本研究の目的

CAGTが平地での従来の歩行練習(OCGT)と比較して、亜急性期脳卒中患者の歩行少尉および歩行関連機能をより効果的に改善するかを明らかとすること


対象と方法

研究デザイン:2群からなる前向き無作為化比較試験
・両群ともに、同じ量の理学療法は実際された。
・治療者はグループ分けを理解していたが、評価者は認識していなかった。

対象者
研究対象者:脳卒中亜急性期患者26名(各群13名ずつ)
対象者属性:
1. CT画像、MRI画像により大脳半球に脳卒中が確認された方(初めての発症)
2. 年齢が40〜85歳までの方
3. 発症後5週間以内の方
4. Brunnstrom StageでステージがⅢ以下と判断された方
5. FAC(Functional Ambulation Classification)でスコアが2以下と判断された方
6. ロボット訓練に対して同意が得られた方

除外基準
1. 身長が145cm以下、180cm以上の方
2. 体重が100kg以上の方
3. 下肢の関節可動域が著しく制限されている方
4. 重度の心疾患、呼吸器疾患、腎疾患、筋骨格系の疾患がある方
5. コミュニケーションが困難な方

介入
・両群ともに、従来PTリハ60分/日、OTリハ60分/日、STリハ60分/日を5日/週、4週間実施した。
・従来リハに加えて介入(GAGTもしくはOCGT)を20分実施
・従来PTリハでは、筋力増強訓練、寝返りや座位保持訓練、日常生活動作訓練、平行棒内での起立・歩行訓練、平行棒外でのKAFO、AFOを装着しての歩行を実施した。

GAGT(介入群)について
・対象者は座位の状態で大腿カフ、脚部器具、ベルトを下肢に装着。
・対象者の大腿部と脚部の長さおよび可動域の制限を決定した後、コントロールパネルに訓練モード、速度、時間を入力
・GARにより、自動的に患者をトレッドミル上の立位に移動する。
・対象者がGARを使用してトレッドミル上を歩行している間、足底と靴の間に挿入された脚部装置の荷重センサーが両足の圧力を検出し、立脚相と荷重量を視覚的にフィードバックする。
・訓練条件は、アクティブモード、アシストモード、パッシブモードの3種類とした。
・訓練時間はGARの着脱を除いて20分であった。

OCGT(対照群)について
・理学療法士の介助のもと、KAFOを装着して平行棒内を歩いたり、杖や歩行器を使って平行棒外を歩行した。
・理学療法士は、対象者が動けない場合には対象者の体を支えて、遊脚相で麻痺側下肢を前方に押し出すように促したり補助をした。
・対象者の膝関節の安定性に伴い、KAFOをAFOに変更した。

評価項目

1. Fugl-Meyer Assessment → 運動機能評価

2. 筋トルク → 筋パワー

3. FAC(Functional Ambulation Classification) → 歩行自立度

4. 10m歩行テスト → 歩行機能評価

5. 機能的自立度測定法(FIMTM) → 日常生活関連動作

統計解析
・介入前後比較 Wilcoxonテスト
・介入後のグループ間の差 Mann-Whitney検定
・SPSSにて検定を行い有意水準は0.05とした。


結果

対象者属性については、各群で有意差はなかった。


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