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ベルシュタインの自由度問題


自由度とは

あるシステムが持っている独立して動く構成要素の数です。
たとえば、人間の身体は関節によって可動性が確保されています。
肘関節は、屈曲伸展の自由度1、肩関節は、屈曲伸展と内転外転と内旋外旋の自由度3と言えます。
このように関節ごとに自由度は決まっており、何か動作(モノを投げるなど)を実行する際には、複数の自由度を持つ関節を連動させています。
さらに、身体を動かすために、筋肉が働きます。
モノを投げるという動作だけでも、どの筋肉が、どのタイミングで収縮し、関節が動いてそれに合わせて末端の筋肉が収縮して。。。
自由度の総和は数えきれないほど膨大になります。
つまり、運動のやり方は無限にあるということです。

どうやって無限の選択肢から有効な方法を選択しているのか

ただモノを投げるというだけであれば、手首だけで投げても、肘だけで投げることも可能です。
しかし、「20m先の1m×1mの的に当てる」というタスクが設定されるとどうでしょうか?
手首だけで投げるという選択肢は無くなります。
おそらく肘だけで投げることも不可能でしょう。
多くの人は肩、肘、手首を連動させて、下半身、上半身も使いながら投げるという方法を選択するでしょう。
つまり、「20m先の1m×1mの的に当てる」というタスクが、無限の選択肢から、特定のパターンに導いてくれていると考えることができます。

「20m先の1m×1mの的に当てる」というタスクに、「時速100km/h以上の速球」でという項目が追加されるとさらに動作パターンの選択肢は絞られます。
さらに、「屋外で」というような環境要因は風の影響や地面の状態などによって動作パターンは制限されます。

そして、そのタスクを実行する個人的な要因も動作パターンを制限します。
その人の筋力や関節の可動域、痛みなどによってもっとも効率的、機能的な方法が選択されるでしょう。

動作はどのように生まれる?

制約によって無限の選択肢から動作パターンを選択することができます。
その制約は「タスク」「環境」「個人」の3つに分類することができます。

この3つの要因がそれなりに効率的で、それなりに機能的な動作パターンができるように選択肢を絞ってくれます。

制約主導アプローチはこの自由度問題を出発点として生まれました。

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