夏の始まり、健康診断の結果が返ってきた。
結果は「E判定」。再検査の案内が入っていた。

その日の体調が少し優れなくて、引っかかっただけだろう。
そう信じて受けた再検査。
結果は変わらず、念の為大学病院の受診を勧められた。


（え、もしかして・・・？）


胸がざわざわする。その時に思った。
このままじゃ死ねない、と。

「自分が挑戦してみたいことに、素直になってみました。」
そう言って一歩踏み出した。はずだった。先の見えない業務に振り回される日々。大事な人に会う予定も、自分のことは全部後回しにするしかない。

「「「このままじゃダメだ。」」」

呪文の様に毎日つぶやいてみるけど、それで明日が変わるはずもなく、ぐるぐるぐる、時が過ぎていく。検査結果が出たのは、そんな毎日に少々諦めを感じていた時だった。

身体が立ち止まれと言っている、そんな気がした。そこで身を削るくらいならば、飛び出してしまえ！！と言っている様だった。

結局、検査結果は、経過観察で終わった。ただ、死が近くに差し迫っているかもしれないということは、これほどまでに自分を追い詰めるんだと知った。

それから出来るだけ日記を書くようになった。もしかしたら短い人生かもしれない。書きたいと思った日だけ書こう。誰にも見せないから、思いの丈を思いっきり書き殴る。自分でもびっくりするほど、私の心の内はドロドロで。相当我慢しているんだなー、頑張っている自分をなんだかぎゅっと抱きしめたくなった。

私が一番大事にしたいことは、なんだろう。
それは、笑顔でいられる自分で、大切な人のそばへいつでも駆け付けられる自分だ。

「自分が一番大事にしたいことに、素直になってみました。」

次はそんな物語を描いていこうじゃないか。