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小説『雨上がりの虹』

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小説『雨上がりの虹』第一章(愁視点)ー下ー

【9】

 数時間かそこらが経った頃合いだろうか。 

 空の色は青みが増し、藍色の空に橙色の雲が混じるような時刻になっていた。

 愁たち二人は、さっきと同じ場所にいた。クールダウンに、だいぶ時間を要していた。

 天使野郎、もとい「なぜか羽の生えた元人間野郎」は、蚊の泣くような声で俯いてつぶやいた。

「もっと人間でいたかった」

「……」

愁は、素直に言うなあと思った。そして、肯定した。

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小説『雨上がりの虹』第一章(愁視点)ー中ー

【3】

次に愁の視界の白い靄が晴れたとき、愁は天使風の男に腕を引っ張られ、青い空の中に浮かんでいた。

眼前を見下ろすと、東京のビル群がミニチュアのように視界に広がっていた。ビル群の景色は彼らの移動に応じて、徐々に変化していった。最初は高層ビルが多かったなか、時折整備された公園がビル群の中にぽつぽつと混じるようになった。都心から移動しているのだろうか。

「これが俺の死んだ後の世界……」

愁は

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小説『雨上がりの虹』第一章(愁視点)ー上ー

小説『雨上がりの虹』第一章(愁視点)ー上ー

【第一章 プロローグA   /HAL】

 たりー、と思いながら、背中に大きな羽根の生えた青年は、今日告げられた本日の仕事内容を記したレジュメを見返した。

『相原愁。22歳。大学四年生。絞首自殺』と黒い文字で記されている。

 同年代だ。というか、俺が今年24歳だから……と数え、自分より若い。

 一期一会なんだからちゃちゃっと済ませちゃえばいいんだろうけど、やってらんねぇな。サラリーマンあがっ

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