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【全4曲】煙草、失恋のモチーフになり過ぎでは?

報われない恋に日々枕を濡らす皆さん、こんばんは。お酒は2時まで、お薬と併用するのは辞めましょうね。

Twitterの裏垢を無限に増やすな。承認欲求をコントロールできるようになれ。


突然ですが、皆さんは失恋をしたことがありますよね。こんなタイトルのnoteを読んでいる方が順風満帆な人生を歩んでいるはずがない。

失恋といってもその形は様々。1番王道なのはシンプルに交際が終了したパターン。王道なだけあって苦痛も大きい。このパターンは交際期間が長ければ長いほどしんどい。デートスポットはおろか、その辺の路地やコンビニにすら思い出が沢山あるので1日に何度も舌を噛み切りたくなる。

後は片思いが強制終了になったパターン。相手に恋人ができたりするとやはり思い続けることは難しい。特に恋人の存在を本人からではなく人づてで聞いた時のダメージは甚大。「お前と居るのが1番楽だわ」とか言ってくれてたのにね。まあそれは恋愛対象として意識することもないくらい楽ってことなのでね。

そして1番しょうもないけど意外と多いのが恋心を抱いていたセフレとおしまいになるパターン。しょうもないね〜〜これに失恋って名前を付けないでほしい。でも馬鹿にできないくらいこういう事例は多い。愚かですね。あとこういうケースで1番キツいのが、高確率で終わりを知らせてくれないこと。「あっ多分これは切られたな」って思ったらその勘は概ね当たる。切られています。



そんな訳でこの世には様々な失恋が渦巻いている。今日もどこかで誰かが泣いてる。酒を煽ってる。ツイートをしている。

だから映画然り音楽然り、恋愛及び失恋をテーマにしたコンテンツは古今東西めちゃくちゃ存在している。

みんな救われたい、共感したいのだ。共感できるコンテンツは分かりやすいから伸びる。勿論ただのフィクションとして楽しめる人も沢山いる。でもそうしたコンテンツを自分と重ねて咽び泣いている人が一定数、しかもかなりの数いるのもまた事実なのである。

私だって失恋の1つや2つしてきた。皆さんもそうでしょう。そういう経験をすると元気な時に聴いてもやけに沁みるようになるのが今回のテーマ、失恋ソングである。

私だって年がら年中失恋している訳ではないけど、失恋ソングというのは人生で一度でも悲しい恋愛をすればその先ずっと心に沁みるようにできている。最悪ですね。


ただ最近自分の中の何度目かの悲しい曲ブームで、失恋ソングばっかり聴いていたらあることに気が付いた。

失恋ソング、めっちゃ煙草出てくる

正確には「煙草を吸っていた男」がかなり多くの失恋ソングに出てくるのだ。

これ、普通の恋愛ソングには見られない特徴だと思う。純粋に片思いしてる曲や恋人との日々を歌った曲をいくつか思い出してほしい。煙草も煙草を吸う男もあんまり出てこなくない?それが失恋した途端にワラワラと出てくる。

今日はその中から4曲を紹介するので読んだ人は「確かに〜」って思ってください。最近失恋した人はこれを聴いて自分にトドメを刺してきてください。

たばこ / コレサワ

まずはこちら。タイトルで一目瞭然ですね、煙草が出てきます。

5年前にリリースされかなり流行した曲。MVの再生回数は5000万回を超えていた。えっすごくない?コレサワを知らなくてもこの曲だけは知ってるって人は多いと思う。もちろんこれはガッツリ失恋ソングです。

たばこの嫌いな 僕を気遣って
ベランダで吸ってたっけな
カーテンが揺れて 目が熱くなる
もうそこに君はいない

ほらね、煙草を吸ってた男はもういないのよ。こいつらはいつもいない。

この曲では、煙草は「相手を思い出す引き金」や「失った日常を表すもの」として使われている。いなくなった男性を想う時に浮かぶのは煙草を吸っていた姿とその匂いだと。私は喫煙者との交際経験がないのですが、別れてから1番に思い出すのって喫煙中の姿なの?それは外デートに連れて行ってもらえなかったとかではなく?

ちなみにコレサワの書く歌詞って全体的にこんなテンションなので、この曲が好きな人は他の曲も是非聴いてみてほしい。普段の失恋ソングはこんなしおらしくなくて寧ろキレてるけど。でもコレサワの曲に出てくる女はいい女ばかりなので聴いてて気持ちいい。

染まるよ / チャットモンチー

恐らく名曲「シャングリラ」の次くらいに知名度の高いこの曲。俺たちのチャットモンチーもこんなに有名な失恋ソングに煙草を登場させている。

あなたの好きな煙草
私より好きな煙草

おい!絶対にコレサワの男と同じだろコイツ!

何でこうも煙草が出てくる失恋ソングは女たちがみんな淑やかで暗いんだ。もっとカチキレてくれ。一瞬でも「私ってこの人の煙草より愛されてないかも…」と思わせる奴と交際をするな。

ただこの曲ではコレサワの曲とは違って、煙草というアイテムが「煙」にかなりフォーカスして使われている。

いつだってそばにいたかった
分かりたかった 満たしたかった
プカ プカ プカ
煙が目に染みるよ

彼を思い出すとそこには常に煙草があって、慣れない手つきで吸いながら彼のことを思い出すのだ。もっとこうしていれば自分は煙草よりも愛してもらえたのだろうか。そんなことをグルグルと考え続けて滲んできた涙を、誰にでもなく煙のせいにして誤魔化すのである。

煙草の煙を「相手を思い出す引き金」にするのではなく「涙を表す言葉」として使っている点は珍しいと思う。ただやっぱり煙草が出てくる失恋ソングは報われなくて暗い。チャットモンチーの曲でここまで暗いのも珍しい。

あなたは煙草 私はシャボン / ラブリーサマーちゃん

これはこの世に存在する中で最も切ない曲です。救いようがない。

この曲は冒頭で私がつらつらと話していた失恋パターンの3つ目、セフレ関係が終了して人生もおしまいになった方のための曲だと思う。セフレと言い切ってしまうのは早計かもしれないが、歌詞の至るところから純粋な片思いよりもドロっとした感情が伺える。弄ばれてたんだろうな〜ということが分かるどろどろ。

背伸びをしたって届かない
恋のお相手はお星様
素敵な言葉に勘違い

交際前に勘違いさせるような言葉を簡単に吐くような人間はお星様ではない。ただひたすら相手にされていないだけである。

この曲は歳上の方に恋をしている人や、はっきりノーとは言われないものの守られない口約束ばかりを交わす彼を見て色々察している人。そういう人が聴いたら穴という穴から血を流して死ぬと思う。みんな、お酒はほどほどにね!

ただこの曲は、既出の2曲とはまた煙草の使われ方が違う点が面白い。

大人のあなたは煙草
私はシャボン玉

煙草を「歳の差を表現する言葉」として使っている。この歌には思い出として煙草が使われている感じはなくて、相手にすらしてもらえない自分の幼さと、相手の余裕があるが故の非情さを際立たせるアイテムとして存在している。おもろ切ない。

「思い返すと全然相手にされてなかったんだろうなぁ」的な恋愛をしたことがある方は是非聴いてほしい。ちなみに2021年私が1番聴いていた曲はこれです。そういうことです。殺せ。

禁煙 /クリープハイプ

MVが無かった。

10年ほど前まではメンヘラの代名詞、聴くリストカット、歩くオーバードーズと呼ばれていたクリープハイプですが、現在はめっきり優しく柔らかくなった。(丸くなったという表現は少し違う)こんな梅雨の昼下がりみたいな曲を出すようになって。

2人のついでより
煙草を買うついでみたいな2人だった

これが全て。この曲の全てです。
まーた大事にされてない。結局暗い。

これは多分「禁煙はできないのに私とのことは終わりにできるんだね」ということが言いたいがための曲で、いかにも尾崎世界観らしい皮肉っぷりである。喫煙ではなく禁煙を持ってくるところも尾崎さんらしいズレだなと思う。

煙草なんて辞めたらいいのに、という彼女と屁理屈ばっかりで全然聞く耳を持たない彼。2人の「合わなさ」が煙草ひとつで分かる。メロディラインが妙に華やかなのも悲しいね。



こうして並べてみると、煙草と失恋ソングの相性の良さは伝わったと思う。私は煙草の依存性がキーポイントなのかなあと感じた。

喫煙者というのは煙草に依存しているので恋人との生活にも当たり前に喫煙が介入してくる。そんな生活に染み込みやすい仕草やアイテム、失恋ソングとの相性抜群に決まってる。

逆に付き合う前はお互いの生活感なんてあまり感じないから歌詞に煙草が出てくることは少ないし、ラブラブな時は色々なところに出かけるし寝言や口癖にも気付くことができるので煙草なんてモチーフにしなくてもいいのです。

相手の日常に片足突っ込んでしまった上にもう更新される思い出もない。そんな失恋状態の時に爛々と輝いて見えるのが、彼の吸っていたアレである。更に言えば紹介した4曲がそれぞれ煙草の着眼点が違ったように、シンプルなモチーフゆえ広がりやすくもあるのだろう。こう考えれば失恋ソングにばかり煙草が使われるのは納得だし、俺たちがそれを聴いて咽び泣くのも納得というものです。


是非これを読んだ皆さんにはお酒とお薬の代わりにイヤホンをぶち込んでこの4曲を聴いてほしいと思います。「アタシの男(あるいは女)は喫煙なんてしないんだけど!」という方、大丈夫です。あなたが大事にされてねえ時点でそいつはイマジナリー喫煙者です。心の中にデカい灰皿とくしゃくしゃのラキストを持っています。ちゃんと沁みるはずです。

しょうもない恋愛は25くらいで終わりにしたいところですね。

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