謎の栗おこわソースから得た教訓

昨日の夕食は弁当だった。妻が東京やら日本橋やらを巡る買い物のついでに、デパートで買ってきてくれたものだ。娘には洋食、僕と妻は和食の弁当だった。
僕が選んだ弁当には、肉、魚、煮物、和え物などが細かく仕切られた枠の中に贅沢に盛り付けられていて、ご飯も赤飯と炊き込みご飯らしきものの2種類が入っているとのことだった。目の見える娘が説明してくれた。
さらに、弁当には赤飯にかけるゴマ塩と、栗おこわにかけるソースがついていた。

「栗おこわにかけるソース?」

僕は驚いて娘に確認した。とんかつやフライにかけるソースのような四角い袋には、いかにもソースらしき液体が入っていた。

「栗おこわにかけろってことなのかな?」

もう一度詳しく見てもらっても、他に醤油やソースを必要とするおかずはないらしい。しかも袋にはちゃんと「栗おこわに」と書いてあるという。
栗おこわにソースをかけて食べるなど聞いたことがないと妻。

「かけたら栗おこわに返信する魔法のソースとか?」

常識人である妻と娘には僕の言い分は聞き入れられず、そのソースはゴミ箱行きとなった。

その後、家族でおいしく弁当をいただいた。
何といっても高級なデパートの弁当だ、しっかり味わって食べた。
でも、肝心の炊き込みご飯には栗など入っていなかった。そもそも栗おこわの味すらしなかった。

栗おこわは?

やっぱりあの謎ソースをかけるべきではなかったか。
先入観にとらわれず、自分の考えを信じて行動できなかったこと、それが一番の反省点だ。