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ウルトラマラソン攻略-フルマラソン以上を走りきるためには-

ランナーの皆さんこんにちは。
nabehiroです。
出だしの内容は、私自身が100kmウルトラマラソンに挑戦していることから、ウルトラについてお話ししていきたいと思います。

 近年、マラソンブームが到来してから多くの人が趣味としてランニングを始めたり、マラソン大会へ参加したり、ランニングシューズでは厚底シューズが今までの常識を覆したり、ウェアもオシャレになっていたり、走ることへの関心・意欲もそそられるような時代に変化しています。
以前から走ることが趣味で今でも継続している方も多いと思います。中でもフルマラソン以上を走る「ウルトラランナー」も多く存在しています。
ウルトラマラソンに限らず、何日もかけて走破するサバイバルランやフットレースなどにも参加する強者ランナーも存在します。(もはやそこまでいくと飛脚?と思ってしまうほどですが・・・笑)

 私は高校時代、陸上部の長距離に所属しており、現在はその延長でマラソンをやっています。年に1度ウルトラマラソンに参加するのが現時点の私の恒例となっています。
 初めてウルトラマラソンに参加した時はまだアスレティックトレーナーの勉強をする前でもあり、どのようなトレーニングをすればいいのかわからず、とりあえず速いペースで長い距離を走る。といったような練習をして臨みました。結果は撃沈です。30㎞から脚が動かなくなり、絶望を感じたのを今でも覚えています。(号泣しながら完走しました笑)

 あれから月日が立ち、今現在トレーナーとしてトレーニングや怪我予防等の勉強を経て感じていることは「ランナーは走っているだけではダメだ」ということです。
 ではどのような練習をすればウルトラマラソン(ここでは100kmを指します)で最後まで走り続けることができるか。どうすればランナーにありがちな怪我の回避をしながら日々走ることができるのか。を解説していきます。


・長い距離に慣れる

 フルマラソンもそうですが、ウルトラマラソンを完走するためにはまずはとにかく長い距離に慣れることが大切です。息が上がらない程度のスピードで構わないのでとにかく長い距離を走ること。ウルトラ走破のカギはまずここにあります。
 細かい視点で説明すると、長距離を繰り返し走ることで身体が適応してきます。ではどのように適応していくのか?
 まず筋肉には速筋線維遅筋線維とが存在します(速筋線維をTypeⅡ線維やFG線維、遅筋線維をTypeⅠ線維やSO線維と表記したりします。以下、速筋・遅筋)
 遅筋は毛細血管密度が高く、ヒトが生きていくうえで欠かせないエネルギー産生(ATP)をするミトコンドリアが多数存在します。また、全身に酸素を運搬するヘモグロビンよりも酸素に対する親和性が高いミオグロビンも多く存在します。そのため遅筋は

「血液供給が豊富で酸素貯蔵に長けている」

「ミトコンドリアが多く存在し、エネルギー(ATP)産生にも長けている」

が故に 「疲労耐性が高い」 と言えます。

 また、速筋と遅筋の割合でいうと、ウエイトトレーニングに精通しているオリンピックリフティング選手は普段から高重量でのトレーニングをしているため速筋の割合が高いです。反対にマラソン選手は高重量でのウエイトトレーニングをメインにすることはあまりなく、基本的には長距離でのペース走などを中心に練習を重ねていくので遅筋の割合が高いです。(速筋は遅筋と比較し収縮速度が速く、大きな力を生み出しやすいが疲労耐性は乏しい
 このことからも、筋線維の種類に競技特有の違いがあるため、ウルトラマラソンのような持久力を必要とする競技では遅筋の割合が多い方が最後まで走り切れる身体に変化していくため、当たり前ですが、持久力が必要なウルトラマラソンでは長距離での練習が必須となります。もっと言えば、長距離を繰り返し走っていくことによって筋線維内のミトコンドリア数が増加することもわかっているため、ミトコンドリア数を増加させ、多くのエネルギー(ATP)を産生することができる身体に変化させることができれば途中で止まることなく最後まで走ることができるようになります。

これがいわゆる「長い距離に慣れる」です。

 私自身、初めてのウルトラマラソンでは30㎞で脚が止まってしまいましたが、3回目では実験として「3か月前から週に1度20㎞走をする」ということでどれほど立ち止まらずに走ることができるかやってみました。
 すると、自分でも少し驚いたのですが50㎞まで立ち止まらず走ることができました。(もちろん練習不足のため70㎞手前からは歩行のオンパレードでしたが、、)
 もちろんこれはn=1ですし、元々私が長距離選手だったことも加味すると、週に1度の20㎞で50㎞までは走ることができるわけではありませんが、週に1度の長距離走でも身体は疲労耐性が高くなることは実感できました。また、私の先輩看護師で38歳からランニングを始めた方がいますが、それこそ初めてのウルトラマラソンでは脚が止まってしまったそうですが、月に20㎞走を何度もするようになった45歳の今では100㎞を最後まで走りきるのは当たり前になっています。先輩こそ完全にミトコンドリア数が当時より大幅に増加した結果ではないかと私は感じています。

 結果、100㎞を走るためには長い距離に慣れろ!です。まずは走ることが大切です。

・筋力トレーニングをせよ

 先程、ウルトラマラソンで最後まで走り切るためには普段から長距離を走る練習をした方が良い、ということを述べました。
 しかし、これは言ってみれば当たり前のことでトレーニングに精通していない方でも容易に想像がつきます。ウルトラマラソンの練習にダッシュを取り入れるなんて事は世界記録を狙わない限りはまずないでしょう。

 この章では「ランナーは走るだけでは足りない」ということを強く述べます。これはウルトラランナーに限らずです。

 私が今まで担当していた患者さんの中には走ることが好きで多くの大会に月1で参加されるほどよく走る方もいました。
 整形外科クリニックで指導されてる方もこのような方を担当した事があるかと思いますが、私が担当していた患者さんの多くは膝の痛みを訴える方が多く、理学療法士の評価としては皆そろって臀部の筋力が弱いという判断をされていました。
 膝の痛みにも様々あるので、一概に臀部の筋力が弱い事が膝の痛みに繋がるとは言いませんが、ランニングを趣味とする方にはこの傾向が強かったため絶対的ではありませんが関係はあると考えています。

 ではなぜ臀部の筋力が弱いと膝痛に繋がることがあるのかということですが、本来であれば走動作は股関節周囲の筋群が協調的に働くことで関節の負担を軽減し効率よく走ることが可能になります。
股関節周囲の筋肉は大まかに言うと

・大腿四頭筋
・内転筋群
・臀筋群
・ハムストリングス


になります。
これらの筋群が上手く協調して働くことで効率の良い走りができます。とくに臀筋群(大臀筋・中臀筋・小臀筋・その他外旋筋群)の中でも大殿筋・中臀筋の筋力が重要となります。
 この2つの筋肉は身体の中でも比較的大きな筋肉であり股関節や腰部・膝関節の安定性に関わったり、ジャンプする時のような股関節を伸ばしたりする際に大きな力を発揮したり、ダッシュからの止まる動作やジャンプ時にピタッと止まれるようなブレーキ動作時に関わります。スポーツでは特に臀部の筋肉が様々な動作に対して貢献する割合はかなり大きいです。(スポーツでなくとも同じことは言えます)
 これら臀筋の筋力が弱い状態だと様々な動作に対する臀筋の貢献度が低くなるため、それを補填するために大腿四頭筋や内転筋群が過度に働いてしまうことになってしまいます。負荷が過度にかかってしまうんですね。
 ランニングで言えば、普段から長い距離を走る方は平坦の道をひたすら走るなんてことは恐らくないでしょう。ある程度は起伏があるはずです。マラソン大会によっては起伏の激しいコースもあると思います。アップダウンの激しいコースでは特に接地したときの膝への衝撃はどうしても大きくなります。そのような場合にはやはり臀部の筋肉が使われることによって上手く衝撃吸収ができ、大腿四頭筋ばかりが過度に頑張る必要がなくなるわけです。ハムストリングスを有効に使えるようにもなれば殿筋と協調して効率的に前方への推進力を得ることも可能になります。
 しかし、多くのランナーの方々は走ること以外にトレーニングが必要だなんて事はあまり想像できないでしょう。しかし、長い目で見ると怪我予防のためには走るだけでなくトレーニングが必要となってくるわけです。
 重要なのはやはり股関節周りの筋群です。先程述べた臀部の筋肉、そしてハムストリングスの筋力向上が膝に負担のかからない走りを生みます。これらの筋群の働く割合が増えると格段に効率的に走ることが可能となります。怪我予防につながると述べましたが、当然ながら筋力向上によってパフォーマンスアップも期待できます。ウルトラマラソンでは疲労も尋常ではないほど蓄積されてしまうので、そういったことも加味すると、特定の筋肉ばかりを使って走り続けるよりも、多くの筋肉を同時に動員させながら走る方が疲労の溜まり方も緩やかになるはずです。

 ではどのようなトレーニングを行なっていくのがよいか、それは次回また解説します。ひとまず、走っているだけではよくない理由はイメージできたかなと思います。プロのマラソンランナーも今はウエイトトレーニングをする時代ですから、是非とも多くの一般ランナーの方々もトレーニングで怪我予防に努めながら目標達成に向けて頑張ってほしいですね。

・食事と睡眠


 これは、練習よりも大切だと個人的には思います。これもウルトラマラソンに限らずですが、マラソン大会の日まであと数週間と限りが見えてきだすとありがちなのは、焦っていきなり距離を伸ばしたり、走る頻度を増やしたり、なんてとこです。残念ながら、人の身体はそんなに簡単に変われません。もちろん短期的な変化はある程度見込めると思いますが、急激に距離や頻度を伸ばしたり増やしたりしたところで劇的なパフォーマンスアップは見込めません。むしろそれこそ無茶をした結果、怪我に繋がることもしばしば、、(焦った結果、怪我をした患者さんも多くいました)

 練習の効果を最大限引き出すためには、過度に頑張るのではなく、しっかり食べて休むことが重要です。ここが疎かになっている人が非常に多いと感じています。どのスポーツにおいてもそうですが、練習だけしていても競技パフォーマンスの向上は期待しているほど上がりません。長い距離を走ったあとではエネルギーが枯渇状態で疲労も溜まっています。運動後は筋グリコーゲン回復・筋タンパク質合成能ともに上昇します。つまり運動後の食事は効率よくエネルギー摂取が可能である絶好の機会なわけです。睡眠は身体の疲労回復だけでなく脳グリコーゲン回復にも影響します。睡眠不足の状態では脳グリコーゲンが十分に回復しないため中枢性疲労といい集中力の低下を引き起こしたり、適切な状況判断の遅れにつながったり、運動パフォーマンスの低下につながる可能性もあります。効率の良いエネルギー摂取や壊れた組織の修復などにはバランスのとれた食事と疲労回復のためには十分な睡眠が必要となります。

・運動
・食事
・睡眠


これらが満遍なく確保できていることで目標達成に近づくことができるので、焦って練習量を一気に増やすよりは練習量を増やしながらもしっかり身体づくりや疲労回復を意識していくのをおすすめします。
マラソンこそエネルギー消費量も疲労蓄積も激しいので、そこを日々しっかり補えなければ怪我に近づいていってしまうだけになります。
スポーツ栄養に関してはまた今後、詳しく書いていきたいと思います。

以上、ウルトラマラソン攻略のための概要みたいな内容で書くつもりでしたが、ウルトラだけではなく他のスポーツでも大事な要素もある内容になりました。あるので参考にしてもらえたらいいなぁと思います。

最後まで読んでくださり、ありがとうございます。

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