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人生設計に戦略が必要な理由

スポーツヒューマンキャピタルでは21冊の課題図書、推薦図書を指定しています。

サッカーやスポーツビジネスに関するものだけではなく、一般的なビジネス書も含んでいて、受講期間内の読破を目指して最近は毎日一定の時間を読書に費やしています。

セミナーの受講と同様に、読んで満足することのないよう、きちんと理解して学んだことも確実に身につけるために、noteにまとめていきます。


今回読んだのはLIFE SHIFT。


3年前に日本語訳が発刊されましたが、今でも書店では積まれて陳列されているベストセラー。

今後の生き方について、新しい示唆を与えてくれる本です。


さて、これまで多くの人生は3ステージのある程度決まった形に収まっていました。

3ステージとは、教育、仕事、引退。

20歳前後で教育課程を完了し、仕事に就き、同じ会社で定年まで労働し、15-20年程度の隠居生活をおくる、というもの。

今まではこれで十分な生活だったのですが、今後何が変わるかというと、

引退後の生活が長くなります。

それも2倍くらい。


今は、病気の早期発見、治療方の改善、健康意識の高まりで寿命が延びています。

平均寿命は10年間で2年のペースで延びており、

日本では2007年生まれの子供の半数は107歳まで生きるようです。

僕は29歳なのですが、おそらくあと70年、100歳くらいまで生きる可能性があります。


その時困るのが、お金。

定年まで働き、老後は貯蓄を崩しながら、

なんて思っていたら、100歳まで資金が持たないのです。

なるほど。では、60歳以降も働こう。

といってもそんな簡単ではなくて、テクノロジーがものすごいスピードで進化しており、今までの経験、知識がどんどん役に立たなくなっているのです。

困った。

だから100年人生には戦略が必要ですよね、という話。


そこで提起しているのが、3つのステージとは別のステージ、たとえば起業したり、人脈をベースに様々な活動を行ったり、旅に出たりなど従業員として働く以外の期間を経てもいいのではないか、それは決して単なるキャリアの中断や後退ではないのではないのかということ。


僕は、例えば社会人になってからの語学留学、MBA留学をするのは会社のサポートが前提だし、1年間旅をして自分を見つめ直すなんて破天荒極まりないと考えていました。

費用がかかりますし、そもそも働き盛りの時に1-2年を仕事以外の時間に費やすのは相当の覚悟が必要であり、どうしてもその後のキャリアの保証が欲しくなります。

ただ、これからは平均寿命だけではなくて健康寿命も確実に伸びており、また、女性の社会進出も進み、結婚後、経済的にお互いが支え合うことができます。

そのため、従来の3ステージの途中で学び直しや新しいチャレンジのステージを確保することのハードルが下がっています。


それに、学び直さないことこそがリスクになります。

日本では多くの企業で年功序列が根付いているので、年齢と年収がある程度比例しています。

ただ、アメリカでは、特にソフトウェア業界で顕著で30代で年収のピークを迎え、それ以降減少していくというデータがあります。

変化が激しいテクノロジー業界では旬の技術を知っていて、それを使えるエンジニアが最も市場価値が高いけど、その知見は時間が経つとどんどん陳腐化していきます。

なので、一定期間で自身のキャリアについて内省し、必要に応じて技術、知識の学び直しの必要性があるのです。


社会学者のアンソニー・ギデンズがこのように述べています。

自分の人生を自分で決めれば、リスクが避けられない。多様な選択肢に向き合わなければならないからだ。このとき個人に求められるのは、必要ならば過去とほぼ決別し、既存の行動パターンが指針にならない新しい行動を検討する覚悟を持つことである。

日本でもずっと同じ業務を継続すること、同じ会社で働くことが今までと比べて少なくなってきています。

個人のキャリアは自己責任で選択、構築しなくてはならず、その時の判断は自分がどうなりたいのか、何ができるのか、どういう人間なのかということがベースになります。

そして、それを問い直すための移行には一定の期間(これまでにはなかったステージ)の確保が必要なんですよね。


この本で特に着目したのが、エクスプローラーというステージ。

「ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学」の著者である入山さんは”知の探索”と”知の深化”について述べています。

イノベーションの基本的な考えは知と知の新結合です。

知見、技術をより洗練し、高度にしていく(知の深化)だけではなくて、別の何かと組み合わせて新しい価値を生み出すことがイノベーションの本質ですが、そもそも人間の認知には限界がある。

なので、意識して今とは別の環境に飛び込み、知の探索をすることが必要になります。

同じように人生においても、同じ業務、同じ会社では新しい考え、価値観が生まれません。

それにインターネットをベースにした情報化社会では、知の探索は特に難しいと感じています。

ネットはうまく利用すれば、なんでも答えが手に入ります。そのため、情報収集元としてネットに頼りがちです。

しかし、ある程度目的を持って調べているので、目的以外の価値観、文化、トレンドなどはどうしても入ってきません。

なので、様々な土地で、様々な人に会うなど、オフラインで意図的に外部環境を変えることは重要だと思っています。

その時に新しい価値観に出会えるだけではなく、自身の中で環境が変わっても変わらないものが明確になり、自分が何者なのか問いただすきっかけにもなるんですよね。


これまで個人の人生はあまりにも会社に依存していました。

それが、これからは人生はより個人の責任になり、自由度もリスクも増えました。

100年という人生の中で、特定の会社で働くことがひとつの選択肢にすぎない社会になっているではないでしょうか。

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