その時、僕の後ろの扉が開いた。
「お疲れさまー、みんな揃ってる？」
家庭科担当の滝本先生だ。

「こんにちは、ちぃがまだ来てません。あと入会希望1名です」
ほっこりさんがすかさず状況説明をした。

「へぇ、君入会希望なんだ？」
「1年3組の大江知宏です。よろしくお願いします」
「料理同好会顧問の滝本麻友です。担当は家庭科。1年3組なら何度か授業したよね。ごめん。まだ全員の顔と名前が憶えられてなくて。あと女子テニス部顧問も掛け持ちしてて、そっちの方が中心になってるのであまり顔を出せてないです。よろしく」
「よろしくお願いします」
「あっ、あの料理同好会はもう一人『ちぃ』っていう人を合わせて4人なんですか？」
「そう、1年7組の宮崎千景さん。もし君が入ってくれれば5人になって料理同好会から料理部へ格上げするための部員数の確保ができるということになります。だから、ぜひこの機会にご入会を」

滝本先生はどこかで見聞きしたようなシチュエーションを丁寧に説明してくれた。
自分以外が女の子ばかりという状況はいかがなものなのだろうか。人間関係を築くのが苦手な僕にとって女の子ばかりの環境というのは少々特殊過ぎる環境になりやしないか。