菜摘ひかる『依存姫』(主婦と生活社)

本当の顔はどこ?』整形したものの、ますます被害妄想に取り付かれる女性の話。
夢がみたいの』ホストに溺れて沈んでしまった女性の話。
買って買われて』買い物と過食で、心の隙間を埋め傷を癒そうとする女性の話。
ただ、欲しかった』他人と身体を交わる事を拠り所にし、セックスしていないと不安で不安で堪らない女性の話。

 『依存姫』の4篇の主人公は、中村うさぎ系の女性達だと思った。中村うさぎも、整形・ホスト依存症・買い物依存症・風俗嬢と、『依存姫』の主人公達に似た病に罹っているのだ。これらの依存症は、「自分自身を愛せない」という根本的な原因から来ている。中村うさぎと『依存姫』の主人公達の違いは、中村うさぎは依存症に足掻く事すら快楽になっているのに対して、『依存姫』の主人公達は依存症に溺れて沈んでしまったという違いだ。

 主人公達が菜摘ひかるさんと似た境遇なのか、菜摘さんの内面が透けて見えてくる様だ(『ただ、欲しかった』は特に)。
 風俗嬢を辞めた後の菜摘ひかるさんの著作は、エッセイより小説の方が面白い(風俗嬢を辞めた後の菜摘ひかるさんのエッセイは『えっち主義』だけ、小説は『依存姫』しか読んでいないが)。
 あとがきとプロフィール写真が痛々しい。

 『依存姫』の主人公達を見ていると遣り切れない。救いは何処に有る?


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