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本屋大賞2020年『流浪の月』

今回の本屋大賞作品

2020年本屋大賞
『流浪の月』/凪良ゆう

偉そうに点数つけるなら・・・

あえて孤独感やどんより感に浸りたい時におすすめ ★★★★☆(4/5点)
ハッとさせられる仕組みがすげぇ         ★★★★★(5/5点)


一言で感想

「加害者と被害者」
「精神異常」
「虐待」
事件が起きたとき、世間はこういう言葉を使うのが好きだなぁと思う。

事件は世間が「そうであったら面白い」「わかりやすい」という枠組みに当てはめて進んでいくのかもなぁ。
なんて思った作品。

イメージと全然ちゃうやん、こういうの大好き


表紙をめくったところに作品の短い説明があるのですが、
これは絶対に読み飛ばさないでいただきたい!

そして第2章くらいまで読んだところで
もう一度読んでください!

最初に抱いたイメージと全っ然ちがって見えるので!!

この書き方がは意図した仕掛けなのか、そうでないのかわかりませんが、
小説を読んでこれだけハッとさせられたのは久しぶり。
なぜだかすごく嬉しい気持ちになりました。

この本をこれから読む予定の方は、
この先の私の記事は読後に読んでくださいませ。
ネタバレ含んじゃうので・・・m(_ _)m

決めつけが誰かを苦しめる

男子大学生が女子児童を自宅アパートに誘拐したとされる事件が発生。
でも実際は誘拐ではない。
女子児童自身が男子大学生の家に行くことを決めたし、
いつだって自宅に帰れる状態だった。
アパートでも何一つ嫌なことをされていない。

それなのに、男子大学生は100%の加害者であり、
女子児童は100%の被害者ということになってしまう。
社会がそういう枠組みに当てはめてしまう。

なぜ男子大学生はそうなるにいたったのか。
その背景には様々な人が関わっているし、
女子児童の背景も同様だ。

その「背景」にいる人達は「加害者」にも「被害者」にもならない。

事件は世間が「そうであったら面白い」という枠組みに当てはめて進んでいくのかもなぁ。
事件だけではなく、自分の日常に関してもそうやって勝手に当てはめることですべて知った気になって、真実を知る努力を怠っている部分はあるかもなぁ。

「決めつけない」って大事。


だとしたらこの本、すごいっす

ちなみに表紙をめくったところに書かれた説明を読んだとき、
私は男女の恋愛の話かと思ったし、
旦那もそこだけ読んで「これ、不倫の話?」と言ってました。

やっぱり、普通そう思うよね。

そういう「決めつけ」とか「社会のイメージ」みたいなものがあることをここでも示してくれているのかも。

だとしたらこの本、すごいっす。



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