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【不安感に寄り添う】

博心堂鍼灸院の、いんちょです。

毎週のように体調管理と、日頃の疲労抜きのために、鍼施術を受けに来られる患者さんがいらっしゃいます。

そして、もう一つの目的がおしゃべり。


体調が悪い時ほど、いつもと同じ内容の愚痴交じりのおしゃべりが、多くなります。

ココロとカラダはつながっている。


体調不安を感じているとき、ココロも同じような不安感を探します。

カラダがドキドキするような不安を感じていれば、ココロもドキドキする不安感を自分の内側に探し出そうとする。

カラダがクヨクヨするような不安を感じていれば、ココロもクヨクヨする不安感を自分の内側に探し出そうとする。


たとえば、日常の忙しさで体中が緊張して、常にドキドキした動悸を感じていれば、ココロもそれに共感できるようなドキドキした「話題」を見つけ出そうとする。

こんなカラダに強調するココロの共感は、コトバとなって発せられることがあるわけです。

カラダの動悸のことを、仕事の忙しさと関連付けて口にしたり、恋愛や家族とのいさかいや、友人関係の不仲など、自分の身の周りにドキドキする話題をココロは探し出して、出会う人に向けてコトバとして、体が不安がっているドキドキを発散するわけです。


カラダがくたびれてクヨクヨしているときなどは、家族や身内の心配事、恋愛や仕事や人間関係の心配事をみつけだして、愚痴交じりに人に相談することで、カラダのクヨクヨした不安感を解消しようとする。


鍼施術の場合には、そんな言葉のニュアンスから、ココロとカラダの風水の状態を見極めて、的確に鍼を体に当てていくわけです。


カラダの風水が整うことで、ココロへのネガティブな共感がおさまると、愚痴や文句交じりのおしゃべりの話題が、急に変わります。

おしゃべりの話題が変わらなくても、言葉のニュアンスが変わってくれば、良い兆候。


前述した体が疲れると同じ愚痴を繰り返される患者さんも、カラダが整うことで、そんな愚痴がなくなっていく。


実はいつも口にする愚痴や文句の正体は、体調のアンバランスが直結しています。

カラダの声をココロが代弁するには、いつもの愚痴や文句を口に出すのが丁度よい。

聞いている僕でも、なるほど、カラダの不調のニュアンスを上手に言葉にのせて愚痴っているなぁと、感心するときがあります。


カラダの巡りを促すためにも、ぼくはそんな「いつもの愚痴」に対して、「いつもの合いの手」を入れさせていただく。

これ、患者さんの体を整える「お決まりのツボ」を使うのと、同じことです。

体調不良を整えるいつものツボを鍼で押さえることで、カラダはいつも通りに整っていく。

ココロの不安もいつもと同じ会話と合いの手で、いつもと同じココロの平安を取り戻していく。


患者さんのそんないつもの不安に寄り添いながら、微妙なずれも感じ取る。

そんなとき、風邪なら風邪の対処。
便秘なら便秘の対処。
生理痛なら生理痛の対処を加えていくわけです。

料理と一緒で、そんなとき、おしゃべりの話題への合いの手も、微妙な味付けの変化と同じように、加減や工夫をしていくわけです。


ココロとカラダと暮らしぶりの風水を、患者さんとのおしゃべりをとおしながら観察して、術を施していく。

鍼灸にはいろいろな可能性がある。

ぼくはそんな多様性のある鍼灸施術の時間を過ごすことに、意義を感じています。

最後までお読みいただきありがとうございます。


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