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思いつきの鍼灸日誌【「なんでもない」の、見立て方】

朝からヒヤヒヤ~っと肌寒い。

窓を開ければ、涼しい風が部屋中に入り込んで、それだけで、部屋のこもった空気がきれいになっていくように感じる、冬独特の冷たい空気。

足元からのそんな冷たい空気は、じつは、人のカラダの元気を奪います。
足元が冷えてすくんじゃうと、「はぁ、やりたくねぇ」って、なんとなくカラダの活気が奪われる。

立ったり歩いたりが気だるくなって、あったかい布団にくるまっていたい。
この時期のこたつなんて、そんな「寒さで活力を奪われた」ひとのやる気を、根こそぎ刈り取ってしまう「恐ろしいアイテム」。

さいわい、わが家には、そんな「こたつ」なんていう「魅力的で恐ろしいツール」はなく、もっぱら寒さには衣服の調整くらいで対処。

それでも、一日肌寒い中で過ごせば、カラダが冷えて咳が出たり、足腰がこわばったり。

わが家のメンバーをみても、なんとなく体力を消耗してカラダのバランスが乱れがち。

具体的には、
・咳が止まらない
・足がだるい、こわばる
・ふくらはぎや太ももが筋肉痛っぽい
・腰が痛い
・肩を揉んでほしい
・やる気が出ない
などなど。

腰痛や足の痛みなども、さして思い当たる原因もなく、なんとなく「さわってほしい、もんでほしい」という程度のもの。

そんなやる気うばわれるうすら寒い日には、世の中にもそんな人も多いんじゃないかなぁと感じるこの頃。


さて、そんな体調不良を「感じてないよぉ」といいながら、鍼施術を受けに来られる方がいらっしゃいます。

体調を伺っても、「とくに、なんでもないです」とのこと。

まあ、そうはいっても、おカラダを拝見すれば、めだった自覚症状はないのかもしれないけど、それなりにカラダのバランスを崩しておられる。

僕みたいな鍼灸師さんが、どうやって「カラダのバランス」をみるかといえば、「気」という鍼灸師さん特有の概念を使うことになります。

「気」の解釈は、鍼灸師さんひとそれぞれ。

ぼくの解釈する「気」という言葉は「はたらき」という言葉に変換しています。

その「カラダの働きのバランス」がどうやって崩れているかというと、鍼灸師さんの五感を使って「あれれっ?」と感じる違和感を見つけることで、カラダの全体像から細かいところへと見極めていく中で、「崩れ」や「乱れ」、「アンバランス」を判断していくことになる。

そんな鍼灸師さんの感覚から「取り込んだカラダの情報」を、アタマの中で「理論的に解釈」して、術を施していく、というわけ。

「目に見えないもの」を「目に見える」ように「解釈」して「言語化」する。

そうすると、患者さんが「なんでもないや」という「目に見えない違和感」「説明できない体調不良」を、五感で感じる違和感を細かく情報処理して、東洋医学の言葉に落とし込んで、術を施しながら、カラダのバランスを細かく解説できるようになるわけです。

ほんとになんでもなければ、鍼施術を受けに来ようなんて、思いつかない。

言葉にできない体調不良が気になるから、鍼施術を受けに来られる。

そんな目に見えない症状の「種明かし」をするように、鍼の施術をするのが、お仕事をしていて「おもしろみ」を感じるところ。

まあ、「なんでもない」といううちに、鍼施術を受けられるのって、賢い鍼灸のかかり方だなぁと思います。

つらくなって、元気を消耗してからでは、回復にとても時間がかかる。

体力のあるうちに、「なんとなく」の言葉にできない違和感を感じながら、こまめな調整がつけば、賢い「転ばぬ先の杖」。

「なんとなく」「言葉にできない」「気のせい」なんてのは、鍼灸師さんの「五感=センス」にとっては得意分野。

「目に見えないもの」を「目に見えるように」言葉に落とし込めるのは、東洋医学の妙というやつなんじゃないかな。

東洋医学には、そんな不思議な言葉が、たくさんあるのだとさ。

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