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定年という節目、なんとなくはNG

社労士という仕事がら、退職にあたってご本人と話すことはよくあります。
今回は60歳定年で退職される方と話したことから思ったことを書いてみようと思います。


仕事という行為が嫌い

いきなり?なタイトルですが、先日定年になる方が会社を退職されるということで出てきたワードです(笑)
同世代なので一通りの説明をした後で、どうして60歳で退職することにしたのか聞いてみました。

「僕はね、そもそも仕事という行為が嫌いなの。だから60歳になったら辞めようと前から決めていたの」と言うのです。

まあ通勤時間も長いのである意味わかるのですが、いつも冷静な仕事ぶりで、まだまだ社内で活躍できるだろうし退職は勿体ないなと思っていました。

よく聞いてみるとすでに家の近くで畑を借りて、農家さんに習いながら自分で作物を収穫したりしているそうで、これが楽しいのだとか。

また学びたいことがあって、これからは時間ができるからやりたかった学びを始めるそうです。そして自分なりに商売を小さく始めてみたいという夢があるということを教えてくれました。

人生後半、嫌いな仕事に縛られずに自分の生きたいように生きようとパートナーの方とも話しているとのことでした。

その顔は笑顔で、ここ(会社)に縛り付けておいてはいけないのだなと思いました。

今の仕事をベースに考えると不幸になる?

この方はかなり潔かったのですが、多くの方は今の仕事を続けるという選択をして会社に残ることが多いと思います。

これは高年齢者雇用安定法というもので、会社は65歳までの就業を確保することが求められているため可能となっています。

65歳定年ということではありませんが、働きたい社員に対しては働く場所を提供することが必要です。
今は経過措置期間中ですが、2025年3月で完全に移行期間が終了し、2025年4月からは65歳までの就業確保が全ての会社で義務となります。

仕事内容もそれほど変化はないケースが多いとは思いますが、ごく一部の方を除いて給料が下がるということに直面します。

給料低下についてはこれまで高年齢雇用継続給付金という収入を一部補填する制度がありましたが、上記の65歳就業確保の完全義務化と同時に、これも縮小されていきます。

そうなると「会社に残って仕事をしているけどモチベーションが下がる」ということが起こってきます。

いつの間にかやる気をなくして、現役世代から見ると「面倒な老害」と見られているケースが登場します。

仕事は社会と関わるための方策の一つ

この年齢になって思いますが、多少の体力の衰えは感じますが社会と関わることを辞めようとは思いません。

やはり社会と関わって「やりがい」を求めていきたいと思います。

しかし定年後再雇用で会社側は、仕事の権限や裁量を狭めて後輩に道を譲ることを求めています。
給料を減らすだけでなく「やりがい」まで奪っていきます。

これまで権限や裁量に自分のやりがいを置いていた人は、要注意です。

やりがいは「この能力が必要」と求められることで生まれます。

権限や裁量は役割です。役割の変化を受け入れ、自分が社会と関わっていくために自分が持っている能力はどんなものか?
これを仕事だけではなく、人生全体を俯瞰して早くから準備することが必要なのではないでしょうか。

会社側もこれまで以上にシニアに対する給与体系や評価基準はもちろんですが、求める能力などをしっかり示していかないと、定年前はしっかり働いてくれた社員が「老害」になってしまいます。

お互いが不幸にならないためにも、いわゆる黄昏研修ではない、本当の意味でのキャリアを学ぶ場が必要になっていくと思います。
シニアにこそ学びの場を提供していきたいところです。


本当は社労士の仕事はあまり好きではないのですが、基本的な知識が意外と?シニアには求められていることを実感しています。
これからの私のやりがいとして、同世代が活き活きと社会と関わる場に貢献していきたいと思う今日この頃です。


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