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1on1は正しく使おう!(何のためにやるのか?)

別の士業事務所の組織づくりの短期サポートをしていました。先日お話を伺うことがあり、その時思ったことを書いてみようと思います。


それならやらない方がいいかも・・・

士業の特性から個人で仕事をすることが多いのですが、その事務所は人数も増えてきて弊害も出てきたところなので、組織としてどう進めていくかサポートしていました。

会社の経営理念を全員に初めて話すということなので、どのように社員の方にお話するのか伺ったところ、
「代表がこんなふうになりたいという思いを伝えた後、具体的な仕組みづくりとかを説明して、1on1を定期的に実施して個人の意見を吸い上げて反映させていくということを話します」

ということで、ここで質問があり「1on1面談」は月に1回やった方がいいのか?ということでした。

う~ん・・・
「個人の意見を吸い上げて反映させていくため」と捉えるのであれば、やらない方がいいと思います。

その面談の場が不平不満を伝える場となりかねないからです。社員の要望を全て反映させていくことは不可能ですから、そうなると「言ったけど変わらない」という更なる不満が出てくることが容易に想像できます。

それならやらない方がいいです。

1on1面談が必要な背景

先ほどの例は単なる個人面談です。ないよりはあった方がいいと思いますが、そもそも1on1面談とは意味が違います。

1on1面談が必要な背景は
世の中の環境が変化してきて、多様化、複雑化、スピードへの対応を求められていて、そのために上司と部下のコミュニケーションの質と量を上げることが求められてきたからです。
また上司(マネジメント)は部下を成長させることで成果を出し続けることが求められているからです。

人の成長に必要なもの

人が成長するためには下記のようなステップをたどります。


士業で言うと、当然知識は重要なので学ぶ必要はあります。
知らない⇒知っているというフェーズですが、ここは研修等で賄うことが可能です。

何か課題があった時に、解決の仕方を知らないので研修等で知っている状態にするのは良いことです。

しかし知っている状態になったことも「やってみる」のステップを登らないと、そのうち知ったものは忘れてしまいます。
研修をやっても解決しないというのは、やってみることをしないからです。

やってみる(実行)をしてみると、当然、上手くいくこともあればいかないこともあります。むしろ上手くいかないことの方が多いかもしれません。

どうであれ、やってみてどういう状態になるか「わかる」わけです。
実際にはこの「やってみる」と「わかる」を何度もグルグルする感じです。

このグルグルするところに、上司のサポートが必要になります。

それが経験学習を回す1on1面談です。


部下が具体的に経験したことを上司と一緒に振り返る。
上手くいかなかったのであれば、どうすれば上手くいくのか?
何があれば上手くいくのか?
上手くいったのであればどういうことが上手くいった要因なのか?

いずれにしてもそれらを自分の言葉で表現してもらい、次にどう活かすのか?を上司と話しながら言語化していきます。

上司は基本的には部下が自分で考えることをサポートすることに徹します。

これを繰り返すうちに、わかるから「できる」につながっていきます。
自分で考えて行動することで「できる」ようになった部下は、自立型社員として成長していくことになります。

1on1は心理的安全性につながる

たまに「部下にはわからないことはいつでも相談においで」と言っているから大丈夫という上司の方がいます。

本当にそうでしょうか。

そもそも「心理的安全性」はコミュニケーションの量を上げないと生まれません。そんなに話さない上司に相談しようと思うでしょうか?

こんなこと言ったら怒られるのでは?と思われていないでしょうか。

それでも上司は部下を成長させることが求められます。

コミュニケーションの量を上げるためには、コミュニケーションをルーティン化する必要があります。

ルーティン化する仕組みとして「1on1面談」を機能させ
「この時間は上司に業務の相談をする場」として自動化、パターン化することで最初は上手くいかなくても、コミュニケーションの量を増やすことができます。

あくまでも部下のための時間です。上司が自分の経験や自慢話をするところでもありませんし、部下を叱責する場でもありません。
それを忘れなければ、時間はかかるかもしれませんが、それがお互いの心理的安全性を生み、部下の成長につながっていきます。

先ほどの士業事務所も、社員の方が成長することが大きなミッションとして掲げられているので、「1on1は社員の成長のための場」ということで今後実行してほしいことをお伝えしました。



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