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すごく好きだった人の話

少しずつ冬になって誕生日が近付くと、思い出す人がいる。

「生きることが自傷」そんな感じの人だった。



弱くて、脆くて、そんな自分を受け入れてるようで、実は全然納得していなくて、世の不条理にずっと眉をひそませて

いつもどこを見てるか分からない目をしているけれど、会うたびに花をくれる、そんな人だった。

当時私の中で輝いていたたくさんの思い出たちも、もうほとんどが色褪せて

振り返れば彼のどこが好きだったのかも朧げなのだけれど

今もどこかで元気でいてくれたらいいな、そんな風に思う。



憎しみすら湧かなくなったのは、愛がなくなったから。

こんなことを何度も何度も繰り返して、なんて愚かなんだろうって呆れる一方で、

そんな自分のことを愛おしいと感じることができるのは、紛れもなく彼のおかげなんだと思う。



たまには休んで、自分のために生きて笑っていてくれたらいいな。

もう二度と会うことがないからこそ、そう思える。

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