見出し画像

大喜利が上手いヤツは総じて捻くれもの

Q.あなたは機長です。
アナウンスの一言で機内の客を不安にさせてください。

Q.鳴かぬなら、「〇〇〇〇」、ホトトギス。
 空欄を埋めてください。

Q.遠回しにデブって言ってください

Q.タイトルだけで見る気が失せる映画。そのタイトルとは?


子供の頃からお笑い好きの私は、大喜利が大好きな少年だった。

フジテレビ系列で年に2回ほど放送される
大喜利の大会「IPPONグランプリ」は第1回目から欠かさず見てるくらいの大ファン。

面白い回答を繰り出して、笑いの数を重ねていく芸人さん達のアスリート魂に格好良さを覚えて、

高校時代、痛々しくも、同じくお笑い好きの友達と
大喜利の回答を出し合って、お互いに「それ、IPPON!」と言い合うだけの謎の遊びが自分たちの中で流行っていた時代があった。


IPPONグランプリ


「大喜利」というものは、一度考えだすと、
どんどんと思考が深みにハマっていき、果てしない思考の海をどんどん潜っていくような感覚に陥る。

一個の「お題」に対して、どれだけのアイデアを並べる事ができるか、
自分の数少ないユーモアを引き出しの奥の奥からひねり出して整理する大事な作業でもある。

1日の終わり、寝る前に大喜利のアプリで1個のお題に対していくつも回答をひねり出す。
最近、自分の中で欠かせない習慣になりつつある。

自分の大喜利が面白いか、面白くないかはともかく。
回答を並べてみて、どういう風にしてそれを導いたのか、考えてみる。

Q.あなたは機長です。アナウンスの一言で機内の客を不安にさせてください。

「仮免試験、今から開始です」


大喜利のお題を前にして、まず行わないといけない作業は「連想」。
はっきり言って大喜利は、一つのお題に対してどれだけ多く連想できるかがかなり重要なゲームだと思う。

「飛行機」→「乗り物」→「車」→「教習所」→「仮免試験」

までの連想をどこまで進めていくか。行きついた連想を最初の「飛行機」に、上手く繋げることができれば、「仮免試験、今から開始です。」という回答に辿り着くことができる。

これからバカンスへと向かう飛行機の中で、
仮免試験中の機長の緊張した声色で、「仮免試験、今から開始です」というアナウンスが機内に流れだしたら天に祈りを注ぐ。

今回のケースでいう「飛行機」からの連想で、相手にそんな絵面を想像させることができれば、それは立派な大喜利の回答になる。

Q.鳴かぬなら、「〇〇〇〇」、ホトトギス。
 空欄を埋めてください。


「割り勘にしよう」


戦国三武将を表現した有名なホトトギスの詩。
真ん中の言葉をアレンジして、"おもしろ"に変えないといけない。

はっきりと言ってこれは五感が命。間に入る言葉は7~8文字。
ただ、何でもいいから7文字を埋めればいいという訳でもなく、これが意外と難しい。

戦国時代の武将の生き様をとらえた詩を、どのようにふざけさせるか。
どのようにしたら共感を呼ぶことができるのか。
このお題は、ここに一点集中させたほうがいい。

これを戦国時代の詩ではなくて、現代のあるある風に変えてみる。

飲み会でのお会計で誰がおごるでもなく、気を遣いあい、皆が硬直しあう気まずい空気。そんな誰もが一度は体験したであろう心のチクチクをこの大喜利にぶつけてみる。

「鳴かぬなら、割り勘にしよう、ホトトギス」

誰もが経験しそうな"あるある"をいかにお題に落とし込めるか、このお題は、五感でどうにでもなる部分はあるが、ちょっとの一工夫で
すごく大喜利のちゃんとした回答っぽくなる。

Q.遠回しにデブって言ってください

「ランクルみたいなボディだよな」



"デブ"という悪口を、悪口っぽくなく且つ確実に相手が傷つくような言葉に変えないといけないと心掛けた。

ただ、"デブ"という悪口を「ふくよか」とか「ぽっちゃり」とか、
マイルドに言い換えるだけなのとはわけが違う。

言い換えるのであれば、当たり障りがありまくり、相手にちょっとの毒と少しの違和感を与えてこその大喜利だ。
ちゃんと棘があり、ちゃんと性格が悪い回答。

"大きな体"というイメージを大型車に結び付け、
「ランドクルーザーのような大きなボディ」と言い換えれば、ちょっとした皮肉がきく。
ぱっと見、良いことを言われてるようで、よく聞いてみると悪口。
というちょうどいい塩梅を見つけてくる作業が非常に楽しい。

Q.タイトルだけで見る気が失せる映画。そのタイトルとは?

Q.「トップ癌」


これは10秒で思い付いた。
自分が映画好きということもあり、頭の一番大きな引き出しの、一番取りやすい棚の位置に「トップガン」があったので、たまたま上手くモジる事ができたのでラッキー♪って感じだ。

こういう偶然の産物で瞬時に導いた回答が評価される瞬間ほど気持ちいいものはない。
一瞬のひらめきが思わぬ形でお題に結び付いた時の気持ちよさも大喜利の魅力の一つだと感じる。



断っておくが、もちろん私は芸人をやっているわけでも、はがき職人でも、何らかの大喜利の大会に出場したわけでもないです。(おこがましい限りです💦)
ただ、趣味の一環として続けてきた大喜利が、ちゃんと趣味として認められるように色んな人が手を出しやすくなり、広まっていくといいなと思っただけです。


大喜利の回答を導くには、一個のお題を見たときに、まずパッと思い浮かぶ普通の思考を取り除く作業から入らないといけない。

「ゴリラ」といったら、「バナナ」「動物園」「ドンキーコング」などなど、
まず普通の人が思うような発想を全部捨てて、"連想"の海に死ぬほど深く深く潜ることで得られる収穫が誰もが思いもよらない回答に結び付くことができる。その瞬間の気持ちよさは他の何ものにも変え難い。

でも、普通の人が考えるような発想をかなぐり捨てたり、
戦国時代の素晴らしい詩を、勝手に変えたり、
人の傷つくような悪口をこねくり回して考えたり。

「大喜利が上手いやつは総じて捻くれ者です。」
これが、今回1番伝えたかった事です。

はい、今日はここまで。

この記事が参加している募集

習慣にしていること

やってみた

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?