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ナカさんの読書記録 イアン・ゲートリー「通勤の社会史」

遅刻の多い人がいました。その人が遅刻してくるたびにムカムカイライラしていました。こちらとすれば大変なストレスです。
そもそもなぜ「時間に遅れること」に対して怒りを覚えたり苛立ったり怯えたりするのか?どうして約束の時間は守らねばならないのか?
だんだんと「人は何故時間に支配されているのか」と考えるようになり、おそらく電車列車で通勤するようになった歴史から、人の時間に対する考え方が変わってきたのではないかな?と想像しました。
その謎を少し解いてくれたのがイアン・ゲートリー著「通勤の社会史」です。著者はイギリスのジャーナリスト、2014年に書かれた本です。
「鉄道が登場する以前、時間の正確さを気にするのは高い地位にいある人ぐらいだった。イギリス人の多くは、一日に時間単位や分単位でなく、午前と午後に分けて捉えていただけだった。」
通勤で電車を使うようになった人は乗り遅れないために一分一秒を気にして行動するようになってしまいました。徒歩で通勤とか自宅が職場ならばそんなに細かな単位では気にしなくて良かったかもしれません。
とにかく電車に乗り遅れることは現代人にとって恐怖になってしまいました。。。東京都心の電車なんて数分待てば後続電車が来るというのに、多くの人が駆け込み、飛び込んで乗車していきます!出勤時間に間に合うように、約束の時間に間に合うように必死なのは信用を失わないためでしょう。
やっぱり昔の人も「アイツは時間に遅れてくるからダメな奴だ!」とか言われていたのでしょうかねぇ。電車がなければもっと時間に対して寛容だったのかもしれません。日本でも江戸時代から勤怠管理はあったそうです。
話がそれましたが、この本の中では日本の超満員電車のことも触れられていて、そのほとんどの内容が痴漢の話だったのが少し恥ずかしかったです。。
「在宅勤務を含め、勤め先以外の場所で働くテレワーク/リモートワークを夢から現実に変えたIT業界ですら、自社の従業員には会社に来て仕事をしろというのだから、近い将来であれ遠い未来であれ、物理的な通勤がなくなる日が来る可能性は低いようだ」
自宅のネット環境も良くなり、zoomやSkypeで顔を見ながら会議も可能、在宅で十分仕事できるのに、やっぱり会社に出勤する意味とは?
アフターファイブに一杯がやりたくて出勤する人もいるとかいないとか。。
どんな時代になってもやはり「動いて顔を合わせる」ことが人には必要なのかもと思いました。

2020.6


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