最低時給のアップの波が、昨年秋ぐちから、この24時間スーパーにも押し寄せてきた。

　ある夜中、二十歳そこそこの女の子が二人で買い物に来た。レジで一人の子が、「〇〇ちゃん、ここで夜中、バイトしたら？」と言うと、「そうしよかなぁ…。」と返事した後、「ここの時給いくらですか？」と、僕に聞いてきた。

　「これ見て。」と、壁に貼ってあるパート、アルバイト募集の用紙を指差したら、

【22時〜6時　11□□円】　とあり、

　それを見た僕のほうが、「え〜！3年以上やってる俺より、新規採用の方が時給高いやん！」と叫んでしまった。

　「一回辞めて、もう一回応募しよ。」と呟くと、「それ、イイ〜！」と笑う女のコたち。

　「そやけど〇〇ちゃん、ここでバイトしたら、夜遊べへんで？」
　
　「そう言えばそやなぁ…。」

　と呟いて帰っていた。

　後日、次回の契約延長の書類が回ってきて、時給欄を見ると【22時〜6時　12□□円】。

　「あ、上がってる。良かった…。」

　パート・アルバイト募集用紙を見て、バブル景気真っ只中の頃、新卒新規採用の給料が、先輩の給料を抜くという現象を思い出した。しかしながら、当時は景気が良くて正規採用の給料が上がって行く現象、今は景気が悪くて給料、但しパート・アルバイト代、が上がって行く現象。

　この先、世の中はどうなっていくのか？個人的には、職業選択の自由度（世間体含む）が増えて、良いと思っているが…。正に実力の世界に。