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水出しコーヒーを淹れ始めた夫

少し前に書いた、こちらの続きです。

毎日、自分が飲めなくなってしまったコーヒーを夫のためだけに淹れていたけれど、コーヒー豆が切れたタイミングで、
「これからは自分が飲みたい時に自分で淹れてもらっていいですか」
と告げた。
家事は手伝わないのだから、せめて自分で飲むコーヒーくらい、自分で淹れてもらおうと思った。

それからしばらくして夫がコーヒー豆を買いに行き、やっと自分で淹れる決意をしたのだな、と思っていたら全然淹れる気配がなく。
半月くらいして、おもむろに水出しコーヒーにチャレンジし始めた。
……かと思えば、再びしばらくコーヒーを淹れない日が続いた。

その後夫は水出しコーヒー用のポットを購入し、おいおいそんな大きいボトル、冷蔵庫のどこに保管するんよ……と思いつつ見守っていたら、

「これ洗う時、どのスポンジ使ったらいい?」

と夫がきいてきた。
そこからか。
普段遣いのスポンジと、排水溝などを洗う用の、ようはお下がりのスポンジの2つを教えた。シンクにはその2つしか置いていない。
食器なんかを洗うのはこっちだよと。

そのあと私は離れたけど、音からポットを洗っている雰囲気を感じた。
夫が洗い物をするなんて十何年ぶり?すごいことなんじゃないか、これ。
自分が好きなことなら、嫌いな洗い物もするんだ。
ここをきっかけに、少しでも変わってくれたらいいな、なんてほんのり思った。

その後自分でコーヒー豆を挽き、準備をしてポットを冷蔵庫に入れる段階で、何やらガサゴソしてるから、見かねて手伝いに行く。
野菜室に入れようとしたけど、そのときはそこそこ野菜がいっぱいだったのと、夫が先日購入したワインが入っていて、場所がない。
仕方がないので、冷蔵庫の方のドレッシングや飲み物ゾーンを少し整えて場所を作る。
っていうか、そういう大きなものを冷蔵庫で長時間保管するなら、購入する前に置く場所を確認するか私に相談してほしいんだけど、夫は「報連相」というものを全くしない。
これは前からずっと。
置き場所とか考えずに物を買う。いいなと思ったら相談なしに買う。リビングにパソコンデスクから始まり、どんどん夫の居場所が増幅している。
……話がそれた。

専用ポットで淹れた水出しコーヒーが美味しかったのか、今回は飲み終わったあと、すぐに新しいコーヒーの準備を始めた。
たまたま私がキッチンにいるときにポットを洗い始めたので作業をしながら見守っていたら、水で何回かゆすいだだけだった。

おーい。
スポンジと洗剤で洗わんのかーい。

どうしよう。
あんまり口出ししたらまた私が夫にストレスを与えたみたいに受け取られるのだろうか。
でも目の前でされると気になる。
次に言う機会があればさりげなく言おうかな。
いや、どうせ夫しか飲まないんだからいいか。

コーヒーのかすを生ゴミ入れに捨てるとき、どうやらいろいろこぼしたみたいで、周りが汚れていた。
夜のキッチンリセットのときに綺麗に拭いたけど、キッチンや洗面所などの水回りがいつの間にか綺麗になっているのに気づいているのだろうか。
夫が盛大に水はねさせた洗面所も、私がいつも拭いているんだけど。

楽しい部分だけしている夫が羨ましい。

せめて長男みたいに、労いの言葉をくれたら頑張れるのに。

コーヒー大好きだったけど、夫がきっかけで飲むのが怖くなり、ネガティブな対象に変わってしまった。
(ストレスで胃がやられて、コーヒーを飲むと激痛がし、飲めなくなった。今は胃は回復した)

コーヒーが夫と結びつく。
コーヒー以外の好きな飲物を何種類か購入して、私はそれを飲んでいる。

夫の行動なんて気にしたくないのに、
家事なんて全然手伝わないのに、
キッチンまで夫が占領し始めたみたいで、少し心がざわつく。

私が夫のことを大好きだった頃なら、一緒に水出しコーヒーを淹れて
「美味しいね」
なんて微笑んでいたのかもしれない。

もうその頃には戻れない。
戻りたくもない。

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