入院日記_20240330

外出した。世界怖い。
徹頭徹尾恋人に付き添ってもらって外界デビューだ。死にたくなくなって生きたくなって生まれ直して赤子の感受性を持った27歳の私は震えながら病院を出た。車がすごい速度でいっぱい通っている。暑い。道路が狭い。怯えながら駅まで向かう。どうせ外が怖いなら、目的地をネットカフェにしようという魂胆で、2駅先まで行く。あと、風呂に入らなきゃいけなかった。電車、怖すぎる! なんであんな速い乗り物と自分を隔てるものが黄色い線だけなんだ。ホームドアでさえちょっと心もとない。呼吸があがり、眩暈がするのを感じ、柱へもたれかかりながらホーム内の椅子を探す。線路を直視できない。電車に乗ってからも、サイネージを凝視して過ごしていた。降りて、人混みを掻き分けてネカフェへ。狭い! 当たり前だが2人用の個室ではなく、息苦しい。むしろ嫌になる。なった。横になったり縦になったりしながら、時間を無為に食いつぶす。正午を過ぎていた。先に食事を摂ればよかった。私はお腹が空いていなかったのだが、恋人は私を迎えに来るために起きてすぐ家を出たようなので、何も食べていないらしかった。ダラダラお話をして、アイスを食べて飲み物を飲んで、1時間くらいして、やっとシャワーを浴びに行った。帰ってきたら恋人は漫画を読んでいた。私も1冊くらい読んだらよかった。『暗殺教室』を色んなネカフェや銭湯で読み続けて、完結に向けて残り2巻くらいまで迫っていた。またダラダラして、恋人の腹の虫に怒られて、ようやく外に出た。土曜の街はひどく混雑していた。近くに海鮮丼のお店があったのでさくっと食べる。私はお腹が空いていないのとすぐに夕飯時が来るのとでハーフにしたが、小さなお椀の8割くらいにみちっと米が入っていて、満足行く量の海鮮が乗っており、十分すぎるほど楽しめた。気温に対してもこもこなパジャマしか持ってなかったのでGUに立ち寄り爆買いする。サテンでいちご柄の可愛いパジャマがあったので、恋人に持って帰ってもらった。病院で着るには薄手で寒い。帰ってみたら割と部屋が涼しかったため、買ってきたあれこれは不要だったなと思い悲しくなった。戻るときもやっぱり電車が怖い。大きな公園を通っているときは心が安定していたので、やはり乗り物が怖いのだろう。あまりにも歩いていないからか、たった6000歩程度で足が痛んだ。安物だが、軽くて履き心地のよいランニングシューズを履いていたのに。恋人を病院前で帰らせて、ついてからは買ったものを検品され、看護師に様子を聞かれた。ずっと不安と恐怖を主張しているため、看護師たちも私を気にかけるようになった。疲労が出て、横になった。ほんの少しの外出で、ほとんど屋内に居たのにこれだ。来週ある大きなコンサートに果たして耐えうるのか? 普段でも疲れる行事なのに。炎が出る演出を想像するだけで既にゾッとする。リセールに出す判断ができないあたりに往生際の悪さが出ている。今まででいちばんよい席なのだ。でもよい席はモロに熱風を浴びる。怖い。きっと音も大きい。怖い。
ああ、世界怖い!

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