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2017年 38冊目『職業としての小説家』

村上春樹さんの自伝的エッセイです。
引き込まれて、あっという間に読めました。

私は、村上さんの本はヒットした本しか読んでおらず、いわゆるハルキストではありません。

村上さんの情報を十分に持ち合わしていない中で、才能あふれる方、いわゆる天才なんだろうなと勝手に思い込んでいました。

そうではなくて、タイトル通り「職業として」の小説家をされているんだと驚きました。

例えば、どのような体調の時も走り、体調を整え、毎日こつこつと原稿を書き続ける。

心と体を良い状態にし続けないと長期間「職業として」の小説家ではあり続けられないのです。

ビジネスマンも同じですね。

長編小説を書く時は、期間や締切りを決めずに書かれるそうです。

一度長編小説を書くと、次の長編小説を書くまで、しばらくいろいろなものが溜まってくるまで時間をおく。

正確に表現すると、自然と湧き上がってくるそうです。

その間は、翻訳の仕事やエッセイの仕事をしているのですが、長編小説を書き出すと、他の仕事はすべてやめて、これに没頭するそうです。

毎日5時間程度机に向かい、同じペースで原稿を書き続ける。
毎日1時間走り続ける。
ようやく半年だとか、1年だとかかかって初稿ができる。

まず、奥さんに目を通してもらう、そして必ず彼女が違和感を持った箇所は書き換える。

アドバイス通り書き換えるかどうかは別にして、必ず書き換える。

書き換えると全体のバランスが悪くなるので、最初から全体を通して書き換える。

これらを繰り返して、ようやく編集者に見せる。
また、編集者が違和感を持った箇所は書き換える。
これを延々と繰り返す。

途方もない作業の繰り返しの後に、あの本が出来上がっているのを知りました。

海外でも村上さんの本は売れています。
これも、日本で売れているので、エージェントが頑張ってくれたので売れたのだと勘違いしていました。
違います。
翻訳者やエージェントなど、ご自身のご縁で見つけていたのです。
そして、徐々に影響の輪が広がり、世界で読者が増えて行ったのです。

努力し続ける才能があった人なのですね。
まさに、他の職業で成功している方と同じ、長期間、地道なことを繰り返し続けている。

その習慣の力の賜物なのだと知ることが出来ました。

なんだか勇気が出てくる本です。
この本は、私の新人時代のT部長のレビューがきっかけで、手に取りました。
Tさん、素敵な本を紹介頂き、ありがとうございました。

▼前回のブックレビューです。


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