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#006_地方移住と医療(1)


新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからない中で、にわかに注目を集めたのが地方への移住。ところが最近は、その移住を思いとどまろうとする動きが加速化しているようですね。

そもそも、地方への移住がトレンドの如く注目されるきっかけになったのは、当初、都市部における新型コロナウイルスへの感染事例が特に目立っていたこと。

"少しでも感染リスクを減らしたい"
そんな願望が、都市部の住民たちの背中を押す力になったのでしょう。


ところが、今度は地方の医療提供体制が脆弱であることがメディアで報道されはじめると、「コロナ移住」の機運は一気に下火に。

移住を画策していた人々の心は、結果的に右へ左へと大きく揺り動かされることとなりました。


ところで、都市部の住民の中には、「コロナ感染のリスクや地域の医療体制について、地方の住民たちは、実際のところどう思っているのだろうか」との疑問をお持ちの方が少なくないと思います。

あくまでも個人的な見解にはなりますが、やはり都市と地方とでは、コロナ観に違いがあるのは事実。それもちょっとではなく、かなり大きな違いがあるように感じますね。


そこで今回は、「地方移住と医療」をテーマとして、"東京から北海道への移住者"という立場から、地域の実情について記事にしてみようかなと。

今日は、その1回目。地方における新型コロナウイルスへの感染リスクに焦点をあてて、科学的な側面と、数字では表せない情緒的な側面の両面から、私なりの理解を書き綴ってみようと思います。


感染リスクは人口密度と相関あり


先般、8割おじさんこと理論疫学者の西浦博さんは、新型コロナウイルスに関するBuzzFeed社の取材に対して、二次感染との相関がもっとも強いのは、人口密度であるという趣旨のコメントをされています。

BuzzFeed社の記事にリンクを貼っておきますので、詳しくは、こちらをご覧ください。(ちなみにこの記事、高い客観性が担保されていてクオリティーが非常に高いです!)

もちろん、このような見解は、日々の研究に基づく科学的な裏付けがしっかりしているもの。ですから、人口密度の低い地方に移住することで感染リスクを下げられるという考え方には、一定の合理性があると考えていいのでしょう。


私が、今、住んでいるのは、人口約9万人の北海道千歳市。東京で言えば稲城市、愛知で言えば江南市、大阪で言えば貝塚市、福岡で言えば宗像市くらいの人口規模のまちを想像してもらうといいかもしれません。つまり、北海道の中では、それなりの規模のまちではあります。

市内には新千歳空港もあって、人の往来が活発な地域でもありますから、これまでの累計で、すでに200を超える数の新型コロナウイルスの感染者が確認されています。その数は、札幌市を除く他の自治体との比較上、決して少ない数字ではありませんから、ここ千歳市は、北海道内では比較的感染リスクが高い地域という評価になるのかもしれません。


そんなローリスク地域とは言えない千歳市に住む私ではありますが、自分がもしコロナに感染するとしたら、せいぜい病院に行くときやスーパーに買い物に行くときくらいかなというのが、最近の正直な感覚です。

仕事やレジャーで移動するときは、必ず自家用車を利用。そうすることで、移動中に誤って誰かに飛沫を浴びせてしまうこともなければ、期せずして誰かの飛沫を浴びてしまうこともありません。人口が密集していて、移動手段を公共交通機関に頼らざるを得ない地域とは、やっぱり事情がだいぶ異なるのですよね。

つまりは、飛沫が飛び交うような場所に自ら進んで行かない限り、感染リスクは極めて限定的なのではないかと考えているわけです。


もっと言うと、北海道内には、コロナ感染者ゼロのまちがたくさんあります。

もちろん、いつ外部からウイルスが持ち込まれるかわからないのは事実ですが、そのような地域では、少なくとも日常生活の中で、コロナに感染するリスクは圧倒的に低い。そう断言してもいいのでしょう。

率直に言って、仕事などで、こうした感染リスクの低いまちに出向くと、誰かから感染させられてしまうのではないかという不安感から、ずいぶんと解放された気持ちになります。どちらかと言えば、万が一でも、こちらから地域の人々に感染させることがあってはならないというほうに、神経を集中させている感じでしょうか。

利尻島や奥尻島など、一部でクラスターが発生した地域もありますが、離島は基幹産業が観光業であったり、持病のある島民が病院通いで頻繁に島外に出たりするなど、どうしても人の往来が活発になる地域ではあります。地方の生活環境としてはやや異質なところもあるので、私の中では、ちょっと例外的な位置づけをしてもいいのかなと思ったりもしますね。

地方ではそもそも病気になりにくい!?


これは私の感覚的な話になってしまうのですが、北海道に移住してからというもの、発熱などの体調不良に見舞われる頻度が劇的に低下。これには、良い意味で非常に驚きました。

今は、新型コロナばかりが注目されますが、そもそも感染症は、新型コロナに限ったものではありませんよね。

首都圏に住んでいる時などは、ひと冬に数回は熱を出したりしていたものですが、北海道に来てからは、何のトラブルもなく冬を越せる年もあるほど。インフルエンザに至っては、北海道に移住してから、かれこれ15年以上が経過した今日まで、いっさい発症することなく日々を過ごせています。

つまり、インフルエンザなど、他の感染症にかかりづらいということは、新型コロナにもかかりづらいということ。私は、そんなふうに理解しています。

やはり、人口密度が低い地域への移住は、コロナ感染予防対策のひとつの手段にはなりうると考えていいのではないでしょうか。


ちなみに、「北海道でも、インフルエンザが大流行することがあるじゃないか」というご指摘があるかもしれません。

もちろん、それはそのとおりなんですけれど、そもそも感染予防対策のレベルが、都市と地方では明らかに違います。つまり、私が東京でやっていたレベルの感染予防対策を、北海道移住後も緩めることなく実行してきたことが、これまでインフルエンザなどの感染症にかからずに済んだ、というひとつの結果として表れたのだと考えているんですね。

もちろん、そこにエビデンスとかがあるわけでもなく、完全に、ひとりの人間の感覚でしかないのは事実です。でも、そんな人間の感覚って、馬鹿にしちゃいけないんじゃないかなと私は思っています。

確かに"個人の感想"が玉石混交であることは間違いありませんが、私の感想が「玉」であるかどうかはともかく、地方発のひとつの参考情報として受け取ってもらえたらうれしいですね。


さて、次回は、地方の医療の部分に焦点を当てて、「地方移住と医療」に関する私なりの理解を、引き続き書き綴ってみようと思います。


(次回へつづく)

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