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【話題の最新論文解説】歯周病菌が認知症の原因ってホント!?①

最近、「歯周病菌が認知症の原因ということが判明した!」というようなニュースや記事が増えています。

それで、こういうポスターまで用意されちゃってます(笑)

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もし本当だったら、

「歯周病治療しなきゃ!歯周病ならないように予防しなきゃ!!」

ってなる気持ちも分かるのですが。。。

結論から言いましょう。

歯周病が認知症の原因かハッキリしていません。

そして、もう一つ重要な事をお伝えします。

”歯周病の治療・予防をしたら”
”認知症の発症率が減った”
なんて研究結果は見たことがありません。

みなさんは、認知症が発症する細かいメカニズムや条件を知りたいんじゃないですよね?

どうしたら、認知症にならないか?

みなさんは、これを知りたいんですよね?

だったら、探したい研究は
「歯周病を治療・予防したら、認知症になりにくかったよ」

ですよね?
残念ながら、私はそのような研究結果を見たことがありません。
”誰も調べてない”なんて可能性はものすごく低いように思います。
であれば、歯周病を治療・予防しても認知症には影響を及ぼさない可能性もあります。可能性があるとすれば、従来の治療方法とは異なるアプローチをすると認知症に影響を与えるということです。

そもそも、なんで今、「歯周病菌が認知症の原因ということが判明した!」のようなニュースや記事増えているか説明しましょう。

日本歯科医師連盟のポスターに、小さな文字で書いてあるのですが、ある研究が2020年7月3日に発表されました。
その論文のタイトルとリンクはこちらです。

"Receptor for advanced glycation end products up‐regulation in cerebral endothelial cells mediates cerebrovascular‐related amyloid β accumulation after Porphyromonas gingivalis infection"

プレスリリースが日本語だったのも、大きな要因かもしれません。

歯周病菌感染は全身の脳老人斑成分を脳内輸入させる
~歯周病によるアルツハイマー型認知症関与を解明する新しい発見~

まずはニュースサイトが「歯周病が認知症の原因!!」という内容でセンセーショナルに反応します。

そういうニュースが出ると、歯科医師は嬉しいのでしょうか?こぞって、「歯周病治療や歯周病予防で、認知症予防!!」みたいな記事を書いてます。中には慎重な論調のものもありますが、

はたして、
その中の何人が論文を全文読んでから書いているのでしょうか?

読んだら、そんな結論にはならないと思うんですけどね。
まず、論文のタイトルですが、日本語にするなら、こんな感じ

”脳内皮細胞における終末糖化産物受容体(RAGE)のアップレギュレーション(増加)は、P. ジンジバリス感染後の脳血管関連アミロイドβ蓄積を仲介します”

あ、どうぞ、2,3回読み直してみて下さいw

普通は意味わからないと思います。このタイトル。

P. ジンジバリスってのは、俗に歯周病菌って呼ばれるやつです。
アミロイドβってのはこれが脳内に貯まることで、アルツハイマー型認知症になるんじゃないか?って言われている物質です。

って用語の解説をされても、意味わからないと思います。
「歯周病が認知症の原因だと判明した!!」なんてビックニュースじゃないですか、そんな研究は、本当に表彰ものだと思います。

その凄い研究が、こんなタイトルには、ならないですよ(笑)

たぶん。
もっと強気なタイトルにしますよ。私が研究者なら。

一方、このタイトルは研究内容を反映した、良いタイトルだと思います。

そんなこんなで、
せっかくなので、この論文の内容をみなさんにも知ってもらおうと、
次回以降、この論文を分かりやすく解説したいと思います。

『認知症と歯周病についてわかっている事』と
『この研究で分かった事』

の2本に分けて説明予定です。
『この研究で分かった事』は本当に細かい話なんで、
『認知症と歯周病についてわかっている事』だけでも読んで頂けたらと思います。

続きはこちら

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