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プルメリア


これからどうせぐだぐだと書き連ねるので、まず結論から言ってしまうと、歌の沼に落ちた

YouTubeもTikTokもそこまで興味がなかったわたしが、今では空き時間のほとんどをそこに費やしている。


むかしから音楽は好きだった。

いろいろ聴いてきたが、中学生のときに「ハモネプ」というアカペラバトルの番組を観始め、すぐに虜になった。

だって人間が、声ひとつ、マイク1本で臨み、歌声を重ね合わせることで、たっぷりとしたハーモニーを作り出す。もちろんそれはリードやコーラスだけでは生み出せない。ベースやボイスパーカッションなんてもう、人間から出てはいけないような音を奏でることで全体に厚みを持たせているのだから、もう神業だ。

彼らのアカペラが素晴らしいのは言うまでもなく、出場者たちの楽しそうに歌う姿や、MC、審査員たちがあまりの上手さに思わず笑ったり、涙をこぼす場面を見るのも好きだった(わたしが好きだったグループに、審査員席の武田鉄矢さんがブチ切れていたことは、いまでも忘れられない)。

わたしは歌うことが好きなものの得意ではないので、憧れすら抱くことなく、番組や、各グループの動画配信でそのハーモニーを楽しんできた。

そして、つい数週間前のこと。

YouTubeをたまたま見ていたら、あるショートが流れてきた。


この真ん中のヤマーノートくんという男の子が載せた、Official髭男dismの「ミックスナッツ」のデュエット。3ヶ月ほど前にTikTokに投稿されたのだけど、なんと11月14日夜の時点で360万回再生。

動画を観ていただけると分かるのだが、左の女性:おかのやともかさんのコーラスがとにかく凄い。しかも可愛い。「うわ〜〜うま〜〜」とうっとりしながら暢気にリピートしていたのだが、ふと気づいた。

「この両サイドのふたり、ハモネプ出身じゃん」

グループは違ったのだけど、ふたりともそれはもうめちゃくちゃに上手いのである。

ともかさんは「たびとも」というグループでコーラスとして参加し決勝進出。

右の男性:るーかさんは「ザ・コンティニューズ」でボーカルをしていて、敗者復活戦でドリカムの「何度でも」を歌って勝ち上がり優勝するという、グループ名も相まって最高の伝説を残した人である。

(おふたりにすぐ気づけなかったのが恥ずかしい。ヤマーノートくんのまつげの長さと肌の白さのせいにしたい)

そんな一方的な再会があって、わたしはまずおかのやともかさんに淡く惚れた。

そして、つい1週間前に彼女の誕生日記念として上がった動画がこれである。


アラサーのわたしに、完全にぶっ刺さったこのメドレー。

この動画の何が凄いって、だいたいの世代メドレーを謳う動画は必ずいくつかは知らない曲が出てくるのだけど、ともかさんがセレクトして割り振ったこの曲たちは全部分かる。そして普通に歌える。SMAPの「Dear WOMAN」があるあたり、選曲の本気度が窺える。

ゲスト陣もとにかく豪華。全員上手い。上手い。Goose houseの慶さんが参加しているのも最高。ミックスも熱い。いろいろ仕掛けがあるのでそれを見つけるも良し、ハーモニーを楽しむも良し、リードを一緒に歌うも良し、ベースに聴き惚れるも良し、世代の方はマジでいちど聴いてみてほしい。わたしはほんとうに、信じられないくらいリピートしている。

去年のメドレーはこちらから。今年のものよりひと組の尺が長いのと、ちょっとおふざけがある。こちらも当然良い。


ほんっっとうに全員大好きだけど、特にラブが深い4人のリンクと簡単な紹介だけ。


✔ 虹色侍ずま(両方出演)

メディア露出が多いので、知名度は高そう。
ずまさんの動画によくあるコメントを借りて分かりやすく言うと、もしもONE PIECE FILM REDのウタが男性だったら、歌唱パートの声優はずまさんになっていたと思う。
とにかくパワフル、激しくがなる。なのに一音一音大切に歌うし楽しそうだし、しっとり系も歌えちゃう。分かったからもう紅白に出てくれ。
もし気になった方は、パワフル系ならウタの「私は最強」、しっとり系ならあいみょんの「裸の心」を聴いてみてほしい。

✔ 財部亮治(1出演)

メドレー1を聴き始めて2曲目に出てくるのが、この財部亮治である。早希ちゃんという方の「さくらんぼ」で非常にポップで可愛いスタートを切ったと思いきや、出てくるのはおジャ魔女どれみのコスプレをした男性。帽子が脱げるのと同時に声質がガラッと変わるところは必見。
わたしは財部亮治の「ミックスナッツ」がめちゃくちゃ好き。
先ほど紹介したずまさんと似たタイプで、エネルギー大爆発のハイトーンボイス+繊細なビブラートがたまらない。毎日聴いてる。

✔ 鈴木瑛美子(1出演)

瑛美子、やっと出会えたね。
筋金入りの表現者。力強い歌声は、瑛美子ちゃんが尊敬するアンジェラ・アキが(「始まりのバラード」のカバーを聴いて)「もうわたしのバージョンいらんやん!」と言うほど。表情やしぐさ、指先。細部にまで宿る歌への愛。
つい最近知ったわたしが言うのもなんだが、世界は遅すぎる。鈴木瑛美子はもっと広く深く愛されるべき人。

✔ 杏沙子(2出演)

あまりにもアイドル。可愛すぎる。メドレー制作陣の解説生配信で、全員が杏沙子にメロメロになっていた。
メドレーでは大塚愛の「PEACH」を歌っているのだけど、最後の「愛しちゃうから 愛しちゃうから 愛しちゃうから」の歌い方が全部少〜しずつ違うため、どの「愛しちゃうから」が良いかを競う、愛しちゃうから選手権が開催された。わたしは②派。
「花火の魔法」というオリ曲が最高にエモくて可愛い夏歌なので、ぜひ聴いて杏沙子の魔法にかかってくれ。


と、ここまでがこのノートを書いた理由のひとつ。
もっともっとアカペラの美しさや楽しさ、素敵なアーティストさんたちをひとりでも多く知ってもらいたいという思い。

もうひとつは、先ほども触れた制作陣の生配信で、今回AquaTimezの「決意の朝に」を歌ったヤマーノートくん(21歳)は、原曲を知らなかったということが発覚した。しかも制作陣のひとり(22歳)も「俺もAquaTimez聴いたことない」と言う。

これは大変ショックだった。

わたしはどこかで「AquaTimezは少なくとも名前くらいは、〜中年なら誰もが知っている」と勘違いしていたのだ。

しかし現実はというと、あくまでもわたしたちの世代がギリギリ。決意の朝に、千の夜をこえて、ALONES、虹、あともしかしたらプルメリア、等身大のラブソング。このラインがギリギリであって、緩やかに世間から姿を消して行ったアクアを今の若い世代が知るわけがなかった。

いや、だからこそ、今回ともかさんがアクアを知らない世代にアクアの曲を振り当てて公開したことで、「決意の朝に」はきっとまた、新しい誰かの心に届いているはずなのだ。

こうやって次の世代に宝物を手渡していけることは、なんて尊いんだろう。そういう意味では、良い時代になったなあと思う。

何の影響力もないわたしがこうやってピーピー騒いだって意味は無いし、愚かしいと分かってはいるのだけど、もしかしたら誰かに、どこかにいるたったひとりに、と信じてやまない。

決して押しつけるわけではなく、わたし自身はなんにも生み出せない人間であるから、せめてわたしが愛おしいと思ったもの、元気が出たものを届けてみたいだけ。そうやって繋ぐことで、きっと世界はほんの少しだけあたたかくなる。


この唄が この唄がいつか
流行の影にしおれていっても かまわない
君は変わらず きっと花唄で聴かせてくれる
君がこの唄を愛してくれる
プルメリア


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