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【エッセイ77】大人になった今が、一番悩みなんてないのかもしれない

子どもの頃、大人になるのが嫌だった。

そういえば昔、トイザらスの歌にそんなのがあった。
子どもでいたーい♪ 大人になんてなりたくなーい♪
大好きなオモチャに囲まれて~♪

実際に子どもの時にこのCMを見て、私は本当にそうだ、と深く首肯していた。
それを母に話すと、母は「大人になったら仕事はあるけど、宿題もないし、帰ってから結構時間あるよ」と答えてくれた。
信じられなかった。

ちなみにトイザらスの歌は「子どもでいたい」の後は「ずっと子じゃラッキー♪」と聞こえていた。正しくは「ずっとトイザらスキッズ」らしい。マジか。どんな空耳だよ。

大人になったら、夏休みも冬休みも春休みもないし、何十年も働き続けなきゃいけない。
長期休暇がないなんて、あり得ないと思っていた。
ちなみに私は、学校は行かなくていいなら行きたくないと考えている子どもだった。中学ではクラブ(軟式テニス部)が楽しみで、クラブのために通っていた。

そんな私は社会人になった。意外に大人は自由だった。
まぁ長期休暇はほしいけれど。
母の言葉は、今はよく分かる。前職は残業も多かったし、そんなに余裕がなかったけれど、今は割と自由な時間がある。
フットサルしたり、テニスしたり、好きにしている。

悩みとか心配も子どもの頃の方が深刻だったように思う。
もちろん今だって全然ないわけじゃないし、健康不安とか、この先のこととか大人ならではの事も、色々あるっちゃあるけど、差し迫ってこれ!というものはない。

思い返せば子どもの頃は、常に何かに悩んでいた。
今となってはもう思い出せないような些細なことから、友だち付き合いのあれこれ…受験、進路、就職。
怒涛のように濃いイベントが目白押しだった。

でもやっぱり人間関係が一番悩んだ。
小学生の頃は特に。学校が世界の全てで、世界の広さなんて全く知らなかったあの頃。
無視されたり、仲間外れにされたり。そういう事も短期間だったけど、あったなぁ。

全員と仲良くする必要はないし、合う人も合わない人もいる。そんなこと、今は分かる。
でも当時は分からなかったよね。

今なら苦手な人がいても、ある程度上手く距離をとるようにしたりだとか、そういう事を覚えた。

自分がラクに生きられるように。

今振り返ると大したことじゃなかったなぁ、なんて思うし、実際に大したことじゃなかったのかもしれない。もうほとんど忘れちゃってるしね。

プールの授業があること(息継ぎができず泳げない)、仲のいい友達が今日は素っ気なかった、とか。
そんな事が小学生の私には大問題で、大変なことだった。

いや、今でもプールの授業なんてあったら絶対に嫌だし、同僚が素っ気なかったら、どうしたんだろう、と気になる。
でも、もうプールの授業はないし、海に遊びに行くことが好きになり、同僚が素っ気なかったら、もしかして体調が悪いのかな、と気遣うことができる。

大人になったからといって、根本的な性格は変わらないし、感じ方も悩み方も変わらないかもしれない。

でも苦手なことはやらなくても生きていけるようにもなる。

大人になるのが嫌だなぁ、とずっと思っていたけれど、大人って意外と自由なんだよ。

選択の幅が増えて、好きな事ができる。
苦手なことは無理にしなくていい。

そう考えると、大人も悪くない。
いや、私にとっては、30歳目前の今が一番心穏やかで、自分のやりたい事をやって、楽しく幸せな日々を過ごせていると思う。

この一番を毎年更新していきたい。
毎年更新していけば、いつも人生で一番楽しいときを過ごしていることになるから。

悩みばっかりで、学校に行きたくなかった小学生の私へ。
私は今、毎日好きな事をして過ごしているよ。

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