構造設計は、謎解き?!
以前、ある構造家の方が
「構造設計は謎解きだ」
と言っていました。だから楽しいのだ、と。
例えば、計算書も残っていないような古い建物を耐震診断する時、まずは、当時の技術者がどのような考え方で建てたのかを考えます。
この柱は何のためにある? 上階の荷重を支えるため? それともただの飾り?
この柱と梁、どんな順序で建てられた?
新しい建物を見た時も、どのようなしくみで建っているか、考えたりします。
あれ? こんな長い片持ちスラブ、どうやって成立してるんだろう?
こんな細い柱ばかりでもOKなのはなぜ? など。
そして、ああ、この建物は、ここの壁が重要なんだな、など答えがわかると嬉しいです。(でも、わからない場合の方が多い·····)
自分が設計する場合でも、いろんな条件をどうやって成立させるか?考えるのは、まるでパズルのようです。それは、意匠設計でも設備設計でも、同じなんだと思います。
以下に紹介するのは、私が昔、そのパズルに失敗した事例です。
10年以上前、とある庁舎の耐震補強のコンペに関わりました。
施主の要望は、補強によって執務スペースが減少しないこと。
庁舎は、図1のように、1階2階の面積が大きく、3階4階はセットバックした建物 : 大きな箱の上に小さな箱が乗ったような建物でした。
私は、図2のように、できるだけ補強箇所が少なくなるよう考えましたが、どうしても補強ブレースにより狭くなってしまうところがありました。
コンペの結果は·····負けでした。
そして、勝者は、どんな補強案だったかというと、
図3のように、建物の外に補強ブレースを設置する案でした!(特に3,4階)
そのようにすれば、内部の執務スペースが、補強ブレースによって圧迫されることはありません。3,4階は、庁舎を使用しながら、外部だけ補強工事をすることもできます。
なんだ! 気づいてしまえば、どうして自分もこれが思いつかなかったのか不思議です。
経験が少ないことも、敗因のひとつだったと思います。
ということで、今年は、実物や写真など、多くの建物を見たり調べたりして、謎解きし、自分の引き出しを増やしていこうと思います!
追記
古典から最新建築まで、謎解き本を買ってみました↓
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