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夜ザクラの猫をさがして

前回のお話 「サクラの犬たち」

四月に入っていた。
少し意地になって花見猫を見たいと思い、
夜7時過ぎにお山へ行ってみた。

理屈としては猫は夜行性だし、
夜店の屋台があれば旨そうな臭いに釣られて、
うろうろしているかもしれないと考えたからだ。

前回同様、駐車場は楽に停められた。
歩きで足元が見やすいよう、
片手に小さいLEDライトを持っていく。

灯りの灯った灯篭や街灯は幻想的で、
ライトアップされた桜は、
夜空を背に真っ白く映え、
木の幹や枝は黒く影を落とし、
見上げる眺望は巨大な影絵に見えた。

こういう贅沢を味わえるのは幸せなものだ。


橋を渡ると広場が見え、
野球のナイターのライトさながら、
桜は煌々と照らされていた。

中央には三脚を立てて一眼レフで、
本格的に夜桜を撮影している人がいた。

平日のせいか屋台はなく、
人もまばらなのが、
花見としては好ましかった。

歩きながら気に入った風景を見つけ、
スマホで撮影。
まわりも同様に撮影する人が多い。

花より団子ならぬ、
花をパシャリと撮影だ。

スマホの性能のおかげで、
花見の楽しみがひとつが増え、
気軽に撮影出来ることに時代を感じる。

さてしかし、目的の猫はいない。
やはり、そう簡単には猫はいないもので、
テリトリーは街中なのかなと考えながら帰途に着く。

石段を降りると、
暗がりを駆け上がってくる子供がいる。

そんなに急いでは転んでケガをするぞ。

サクラにまつわるお話|ナミソラフウモ|note

どうぞよろしくお願いします。