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子育て夫婦のギスギスの原因は? 家庭内に働くパパの“居場所”をつくろう

結婚を決意した多くのカップル。二人で創り上げていくしあわせな未来に期待をふくらませたはずが。妊娠・出産・育児のステージを踏むごとに、暗雲がたちこめていくことが非常に多い平成から令和の時代。

男性側の労働・生活環境はそのまま継続、女性のほうが変化を受け入れるパターンがほとんど。

結婚をきっかけに環境が激変。人間関係もイチから築き上げなければいけない。妊娠・出産でキャリアが一時的にストップ。いざ育児がはじまると社会的疎外感や保育園難民予備軍。

この変化や対応のほとんどを当然のように女性側が受け入れているのが現状。多様性がさけばれる令和の時代、家族は共同経営体のはずなのに「仕事=男性、家庭=女性」の価値観が、おそらく30歳以上の夫婦間ではいまだ多く根付いているのではないでしょうか。

SNSを観察していても、一部だけを見ると、家庭内でのパパの評価はとても低め。

・仕事を言い訳に、家事育児に協力してくれない
・産後すぐにも関わらず、当たり前に残業する
・休みの日は、子どもの世話はそっちのけでスマホ片手にゲームばかり

などなど、ママの嘆きの声がゴロゴロとあふれています。

積極的に家事育児に参加してくれている我が家の夫も、残業については日常茶飯事です。「気合だ!根性だ!」が口癖の典型的昭和人間で、この人は仕事大好き人間なんだな、とも感じます。

なぜ男性は、職場では戦力になりたがるのに対し、家では愛するパートナーの戦力にならないのでしょうか。「二人で手をとりあって生きていきましょう」と誓って結婚したはずなのに。

私自身もそんな疑問をずっと持ち続けてきました。

コピーライター・阿部広太郎さんの著書『待っていても、はじまらない。ー潔く前に進め』を読んでいると、男性の立ち位置について改めて考えさせられる箇所がありました。

作家の白岩弦さん(※2004年に『野ブタ。をプロデュース』で第41回文藝賞受賞、同作芥川賞候補にも。)との対談。

白岩さんが当時次に書きたい小説テーマとして、「時代が変化し、価値観が多様になって男性の生き方を問いなおす時代になったからこそ、男性のことを物語にすることで今の時代の男性像を表現したい」と語った中の一節です。

昔は、男性には戦争に行くという役目があった。それが企業戦士というかたちに変わっていく。そうやって男性たちの居場所が獲得されたかに見えて、今度はバブルがはじけてしまう。「男は仕事」的な生き方をしている人はいるけど、みんなが同じことをやれるわけじゃない。戦いたいと思っても戦えない人もいて、戦う場がないなと思っている人もいる。あくまでも比喩的な意味ですけども、戦わないと、自分に自信が持てないんじゃないかと思うんです、男の人は。
(※太字箇所は、筆者の装飾による)
戦いに行く場所がなくなって、自分自身が敵みたいになってしまっている。外に向かっているうちは楽なんです。自分にはやれることがないと思ったら辛いじゃないですか。僕はそうやって苦しんでいる男の人を肯定したいんですよね。
(※太字箇所は、筆者の装飾による)

「外に向かっているうちは楽」。仕事に取り組んでいるときは、自分に自信がついている状態で、その自分が心地いい。

反面「自分にやれることがないと思ったら辛い」。家庭に帰ると自分が何をやればいいのかわからない。やったとしても妻に「やり方が違う」「そうじゃない」と叱られる。当然居心地も悪くなる。

なるほど、と。男性は、家庭では無力を感じているんですね。そんなオレは、情けない、かっこ悪い自分だと。

ずっとやってきた“なじみのある”仕事に加え、はじめて経験する妊娠中〜産後の妻の心身サポートと育児。未知の世界だからこそ覚えることが山程あります。しかし、自分事として妊娠出産育児を捉えて学ぶことを怠っていたら、そりゃあ“やることがわからないのは当然でしょ”と女性側としては呆れ半分で思ってしまいます。

女性は、体の変化や育児に否応なく向き合わざるを得ず、1秒ごとに体感で学んでいきます。男性の場合「家事育児は女性の役割だから」と切り離して考えることは今となっては時代遅れ。みずから家事育児に関わろうとしない限りは、パートナーである女性から白い目で見られるのは当然です。

でも、男性は男性で、組織の上層部とパートナーの挟み撃ちで、「どうしたらええんじゃ〜!」と理想の動きができずに苦しんでいるかもしれません。

男性も女性も、抱えているものが重たすぎる。どちらもしんどい。

だから女性は、まずパパの“男性性”としての立ち位置を理解し、次に家庭でのリーダー的立場になって暮らしが円滑にまわるように話し合いながら役割分担をサポートすることで、パパの居場所をつくるといいのかなと個人的に感じています。

大事なのは、お互いを理解しようと寄り添う姿勢。そして感情的にならないこと。

いちばん最小組織である家庭内で価値観をすりあわせる努力をしているのだから、「男性(女性)はこうあるべき」「父親(母親)はこうあるべき」というイメージを、まずは社会全体で少しずつ手放していかなければ、ですよね。

それぞれが一人の人間として尊重され、個々のライフステージや家庭の事情に合わせた働き方を、柔軟に選べるような社会になるといいなと勝手な理想だけを置いて、この記事は締めようと思います。

ではまた!


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