◾️東京散策: 中野〜早稲田編


待ちに待った休日なのになぜか行きたい場所が思い浮かばない。どこか出かけたいのに何をしたいか分からない。
そんな時はとりあえず600円の東京メトロ一日乗車券を買ってとりあえず電車に乗り込む。

そうして思いついた場所が、中野。東西線沿線在住の私にとっては最果ての地、ながら乗り換えなし1本で辿り着ける。こんな日は前々から行きたかったあの店に行ってみるしかない。『LOU』だ。

初めて訪れる中野。まず目に飛び込むのは黄色い看板の『田舎そばかさい』。平松洋子さんの【味なメニュー】に描かれていた創業52年の立ち喰いそば。
更に駅から真っ直ぐに伸びるアーケード商店街にテンションMAX、降り立って秒でここは大好きな街になると確信。

雑多な商店街から路地裏を歩き、緑に覆われた一際海外に来たかのようなオープンエアな空気感を放つ『LOU』へ。幡ヶ谷にある『PADDLERS COFFEE』の姉妹店。

店に入った瞬間目に飛び込んできたのはショーケースに鎮座したゴツゴツとした大きなスコーン、メープルチーズスコーンとかどう足掻いても既に美味しい。
エチオピアのコーヒーと甘塩っぱいスコーンを交互に頬張りながら、考えうる最高な休日の朝を感じられる要素が全て詰まった空間だとしみじみ思う。



至極の朝時間を満喫した後は商店街の老舗甘味処『梅家』のいなり寿司を横目に、中野から東西線で3駅、早稲田へ。
目指すは念願の早稲田大学村上春樹ライブラリー。外壁の白い壁に白木の庇が縦横無尽に畝り、館内に足を踏み入れると表れる木製トンネル、そして地下へ続く本棚の森、、



そして嬉しすぎるサプライズが、なんと3階展示スペースで『安西水丸展 村上春樹との仕事から』が開催されていた。村上春樹ライブラリー開館2周年の折、安西水丸さんのご遺族から村上春樹さんとの仕事に纏わる遺品の贈与があったとのこと。共著のイラストレーションからスノードーム、こけし、ブルーウィローのコレクションまで。来年4月までロングランで開催されているようで、確実に再び足を運ぶだろう。



最後に地下にあるカフェ、橙猫子-Orange Cat-へ。しかし木製トンネルを地下に潜るなんて、この演出は涎ものでしかない。
ホットのチョコレートモカを片手に、少し肌寒いけれどギリ心地よいテラス席で好きな本を捲る。村上春樹さんの本はほぼ全て自宅にあるので、食の本の棚から平松洋子さんの【そばですよ】(ちょうど中野の田舎そばかさいの記述があった)、湯木貞一さんの【吉兆味ばなし】を手に取った。


際限なく居座れる夢のような村上春樹ライブラリーを後にしながら、朝起きたときの無気力さは一体なんだったのかと思うほどに理想の休日を謳歌し帰路へ。

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